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居宅介護支援事業所とは?どんな法人が運営し、ケアマネはどんな体制で働くのか

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監修者

名前 / Name  
大石 智之

実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。

その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。

さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。

約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。

設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。

現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。

居宅介護支援事業所は、在宅で暮らす要介護者のケアプランを作るケアマネジャーの拠点です。ケアマネの約6割がここで働いていますが、どんな法人が運営し、どんな基準で人が配置され、地域包括支援センターとどう役割を分けているのかは、意外と知られていません。本記事では、厚生労働省のデータをもとに、事業所の仕組み・数・経営状況から、働く場所として見るときのポイントまでを整理します。


居宅介護支援事業所とはどんな場所か

まずは、居宅介護支援事業所が何をする場所で、誰が運営しているのかを確認します。よく混同される地域包括支援センターとの違いもあわせて押さえておきましょう。

要介護者のケアマネジメントを担う事業所

居宅介護支援事業所は、介護保険法にもとづく「居宅介護支援」を提供する事業所で、事業を始めるには市町村から指定を受ける必要があります。在宅の要介護者のケアプランを作り、サービス事業者との調整を行う、介護保険サービスの入り口となる事業所です。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6「居宅介護支援・介護予防支援」 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

本記事では、サービスを提供する「事業所」そのものに焦点を当てます。

運営しているのは社会福祉法人から民間企業まで

居宅介護支援事業所の運営主体は多様です。厚生労働省の職業情報提供サイトでは、社会福祉法人や医療法人だけでなく、営利法人、財団法人、農協、生協、開業医、薬局などさまざまな経営体があると紹介されています。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「介護支援専門員・ケアマネジャー」 https://shigoto.mhlw.go.jp/Occupation/Detail?occupationId=132

また、居宅介護支援事業所のうち、同じ法人・系列法人の介護保険施設や事業所を併設しているところは65.7%で、居宅介護支援だけを行う事業所は14.4%でした。多くの事業所が、訪問介護や通所介護などと同じ建物・同じ法人のなかで運営されていることがわかります。

出典:厚生労働省 同上資料(令和6年度老人保健健康増進等事業の調査より) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

地域包括支援センターとの違い

地域包括支援センターは、市町村が設置する総合相談の窓口です。保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種(またはこれに準ずる者)が協働し、要支援者の介護予防ケアマネジメントや、地域全体の相談対応、権利擁護などを担います。

出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1480 https://www.mhlw.go.jp/content/001673837.pdf

国の検討会の中間整理では、居宅介護支援事業所は個々の利用者に対するケアマネジメントに重点を置き、地域包括支援センターは社会資源への働きかけを含めた地域全体の支援に重点を置くことが適当とされています。「目の前の利用者を支える居宅」と「地域全体を支える包括」と考えると、違いがつかみやすくなります。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf


居宅介護支援事業所に求められる体制

居宅介護支援事業所には、国の基準でケアマネの人数や管理者の資格が定められています。働く人にとっては、1人が担当する利用者の数や職場の体制に直結する部分です。

ケアマネは利用者44人に1人が基準

事業所には常勤のケアマネを1人以上配置する必要があり、人員の目安は利用者44人(要支援者は3分の1人として換算)ごとにケアマネ1人です。ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ事務職員を配置している事業所は、49人ごとに1人まで緩和されます。

出典:厚生労働省 同上資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

実際の人数は事業所によって大きく異なり、常勤のケアマネが1人だけで運営する小規模な事業所もあれば、主任ケアマネを含む複数のケアマネで運営する事業所もあります。人数に余裕がある事業所ほど、休暇や研修で不在になるときの代わりを確保しやすくなります。

管理者は原則として主任ケアマネ

管理者は、常勤専従の主任介護支援専門員であることが原則で、調査では管理者の90.3%が主任ケアマネでした。管理者は事業所の運営に責任を持つと同時に、所属するケアマネの相談役や育成役も担います。

出典:厚生労働省 同上資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

体制の充実度を示す「特定事業所加算」

主任ケアマネや常勤ケアマネを一定数以上配置し、24時間の連絡体制や計画的な研修、支援困難事例の受け入れなどを行う事業所は「特定事業所加算」を算定できます。複数のケアマネで相談しながら働ける体制かどうかを見る目安にもなります。

事務職員がいるかどうかで働き方が変わる

居宅介護支援事業所の仕事には、給付管理や利用票の作成・送付、請求の確認など、事務的な作業が多く含まれます。国の介護保険部会も、給付管理をはじめとする事務的な業務については、ケアマネに求められる役割を踏まえて適切な業務分担の環境整備を進める必要があるとしています。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

事務職員を配置している事業所では、ケアマネが訪問や相談、ケアプランの検討に使える時間が増えます。前述のとおり、ケアプランデータ連携システムの活用とあわせて事務職員を配置すると、人員基準や報酬の面でも有利になるため、体制を整える事業所が今後増えていくと考えられます。


数字で見る居宅介護支援事業所の現状

居宅介護支援事業所は全国にいくつあり、経営状況はどうなっているのでしょうか。国の統計から、事業所の数と経営の動向を確認します。

全国に約3万6千か所、大阪府が最多

居宅介護支援の請求事業所数は全国で3万5,943か所(2025年4月審査分)です。都道府県別では大阪府が3,482か所と最も多く、東京都の3,000か所が続きます。高齢者人口10万人あたりでは全国平均で101.2か所です。

出典:厚生労働省 同上資料(令和6年度介護給付費等実態統計より) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

事業所数は2018年度をピークに減少

事業所数は2018年度をピークに減少傾向が続いています。ケアマネの従事者数も横ばいで、国は担い手の確保を課題に挙げています。利用者から見ると、地域によってはケアマネがなかなか見つからない状況も生まれつつあります。

出典:厚生労働省 同上資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

収支差率は全サービス平均を上回る

居宅介護支援の収支差率(2024年度決算・税引き前、物価高騰対策関連補助金を含まない)は6.2%で、全サービス平均の4.7%を上回っています。2021年度の3.7%から改善が続いています。

出典:厚生労働省 同上資料(令和7年度介護事業経営概況調査より) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

一方で、ケアマネ1人が担当できる件数には上限があるため、売上を伸ばすにはケアマネの確保が欠かせません。人材の確保が難しい小規模な事業所ほど、後継者や事業継続の問題に直面しやすい構造でもあります。


働く場所として居宅介護支援事業所を見るときのポイント

最後に、ケアマネとして居宅介護支援事業所で働くことを考えている人に向けて、事業所を見るときの視点と、最近の働き方の変化を紹介します。

併設か単独かで、求められることが変わる

併設型の事業所では、同じ法人のサービスとの連携が取りやすい一方、ケアプランに自法人のサービスばかりを位置付けていないかという公正中立性が常に問われます。国は契約時に、ケアプランに位置付けたサービスの割合などを利用者に説明するよう求めており、併設型で働くケアマネほど、その説明に耐えられるサービス選びが大切になります。

単独型の事業所は、特定のサービスに縛られずにケアプランを組みやすい反面、事業所の規模が小さく、相談できる同僚が少ない場合もあります。

テレワークを取り入れる事業所も

居宅介護支援事業所ではテレワークも少しずつ広がっています。調査では、テレワークを認めている事業所のうち、原則毎日テレワークをしているケアマネがいる事業所は7.1%でした。ただし、テレワーク中の緊急時に管理者が対応できない事業所や、体制を整備していない事業所もあり、導入の仕方には差があります。

出典:厚生労働省 同上資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

安全とハラスメント対策の体制も確認する

厚生労働省は、ケアマネの安全が脅かされる重大な事件を受け、事業者に対してハラスメントの予防・対応方針を組織として検討することや、地域の関係者と連携して対応する体制を築くことを改めて求めています。利用者宅に複数名で訪問する場合の国の支援の活用も、自治体に依頼されています。

出典:厚生労働省 同上資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

職場を選ぶときは、困難な訪問に1人で向かわせない仕組みがあるかどうかも確認しておくと安心です。

見学や面接で確認しておきたいこと

居宅介護支援事業所で働くことを考えるときは、求人票だけではわからない部分を、見学や面接で確認しておくと入職後のギャップを減らせます。たとえば次のような点です。

  • ケアマネ1人あたりの担当件数と、新人の場合の担当件数の増やし方
  • 主任ケアマネによる同行訪問や、事例検討の機会があるか
  • 事務職員の有無と、給付管理などの事務をどこまで分担しているか
  • ケアプランデータ連携システムなどICTの導入状況
  • 休日や夜間の緊急連絡の体制と、当番の頻度

特に合格したばかりの方や、ブランクから復帰する方は、最初から多くの件数を任されるのか、段階的に増やしていくのかで負担が大きく変わります。遠慮せずに確認しておきましょう。


居宅介護支援事業所についてのよくある質問

Q. 居宅介護支援事業所と地域包括支援センターはどう使い分けますか?

A. 要介護1〜5の人は居宅介護支援事業所のケアマネが、要支援1・2の人は主に地域包括支援センターがケアマネジメントを担います。どちらに相談すればよいかわからない場合は、まず地域包括支援センターに相談すれば、適切な窓口を案内してもらえます。

Q. 居宅介護支援事業所を開設するには何が必要ですか?

A. 法人格を持ち、常勤のケアマネを1人以上配置し、常勤専従の主任ケアマネを管理者として置いたうえで、市町村から指定を受ける必要があります。事務所の設備や運営規程なども求められるため、詳しくは事業所を開設する市町村の介護保険担当課に確認しましょう。

Q. ケアマネが1人だけの事業所もありますか?

A. あります。人員基準では常勤のケアマネを1人以上配置すればよいため、管理者を兼ねた主任ケアマネ1人で運営している事業所もあります。少人数の事業所では、急な休みや研修時の対応をどうするかを確認しておくと安心です。

Q. 居宅介護支援事業所のケアマネは何人くらいで働いていますか?

A. 人員基準は利用者44人ごとに常勤換算でケアマネ1人ですが、実際の人数は事業所によってさまざまです。特定事業所加算Ⅰを算定する事業所では、主任ケアマネ2名以上と常勤ケアマネ3名以上の配置が求められます。

Q. 居宅介護支援事業所はどう探せばいいですか?

A. 厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で、地域の事業所の所在地や体制、加算の算定状況などを調べられます。市町村の介護保険窓口や地域包括支援センターでも一覧をもらえます。


居宅介護支援事業所についてのまとめ

居宅介護支援事業所は、要介護者のケアプランを作るケアマネの拠点で、社会福祉法人から民間企業まで多様な法人が運営しています。ケアマネは利用者44人に1人が基準で、管理者は原則として主任ケアマネです。事業所数は全国で約3万6千か所あるものの減少傾向にあります。働く場所として選ぶときは、併設の有無や特定事業所加算、安全への体制まで確認しておきましょう。


執筆者
ケアマネクスト編集部
ケアマネクスト編集部
ケアマネとして働く方のキャリアの「次」と、事業所のこれからの「次」。
その両方の後押しになるよう、試験や制度、働き方、事業承継の情報をお届けしています。
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