相談支援専門員とケアマネの違いは?対象者・資格要件・計画の違いと、両方が関わる場面
監修者

名前 / Name
大石 智之
実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。
その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。
さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。
約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。
設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。
現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。
相談支援専門員とケアマネジャーは、どちらも利用者の相談に乗り、必要なサービスを組み立てる計画を作る専門職です。仕事の進め方はよく似ていますが、根拠となる法律や対象となる人、資格の取り方は大きく異なります。本記事では、両者の違いを対象者・計画・資格要件の3つの観点から整理し、障害のある人が65歳を迎えるときなど、両方が関わる場面や、キャリアとして行き来する方法まで解説します。
相談支援専門員とは
まずは、相談支援専門員がどんな専門職なのかを確認します。ケアマネとの違いを理解するための前提として、障害福祉の制度のなかでの役割を押さえておきましょう。
障害福祉サービスの計画を作る専門職
相談支援専門員は、障害者総合支援法や児童福祉法にもとづき、障害のある人や障害のある子どもが必要なサービスを適切に利用できるよう、相談に応じて「サービス等利用計画」を作成する専門職です。計画にもとづいてサービスが始まった後は、定期的にモニタリングを行い、目標が達成できているかを確認します。
出典:厚生労働省「障害のある人に対する相談支援について」 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001514704.pdf
主に働く場所は相談支援事業所
相談支援専門員は、主に指定特定相談支援事業所や指定障害児相談支援事業所で働きます。障害福祉サービスを利用する人のサービス等利用計画を作るほか、地域で暮らす障害のある人の生活全般の相談にも応じます。
2024年度から「相談支援員」の仕組みも
2024年度の報酬改定では、相談支援専門員の資格を取る前の段階の「相談支援員」として働く仕組みが設けられました。相談支援員は、社会福祉士または精神保健福祉士の資格を持ち、常勤専従で働くことなどを条件に、サービス等利用計画の原案の作成やモニタリングを担い、実務経験を積みながら相談支援専門員を目指すことができます。
出典:厚生労働省 同上 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001514704.pdf
相談支援専門員とケアマネの3つの違い
相談支援専門員とケアマネの違いは、大きく「対象者と制度」「作る計画」「資格の要件」の3つに分けられます。
違い1:対象者と根拠となる制度
ケアマネは介護保険法にもとづく専門職で、主に65歳以上の要介護者・要支援者を対象に、介護保険サービスの計画を作ります。一方、相談支援専門員は障害者総合支援法や児童福祉法にもとづき、障害のある人や子どもを対象に、障害福祉サービスの計画を作ります。
対象となる年齢層も異なり、相談支援専門員は子どもから高齢者まで幅広い年代の人を担当します。
違い2:作る計画と仕事の進め方
ケアマネが作るのは「居宅サービス計画(ケアプラン)」、相談支援専門員が作るのは「サービス等利用計画」です。どちらもアセスメントから計画作成、サービス担当者会議、モニタリングという流れは共通しています。
一方で、ケアマネは介護保険の区分支給限度額の範囲でサービスを組み立て、毎月の給付管理を行います。相談支援専門員の場合は、市町村が決める支給量の範囲でサービスを組み立てる点や、就労や教育、子育てなど、生活のより幅広い領域に関わる点が特徴です。
モニタリングの頻度の決まり方も違う
ケアマネは、少なくとも月1回は利用者宅を訪問してモニタリングを行うことが基本です。
出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf
一方、相談支援専門員のモニタリングの頻度は、利用者の状態や利用するサービスに応じて、市町村が利用者ごとに期間を定めます。状態が安定している人は数か月に1回、生活が大きく変わる時期の人は毎月というように、人によって頻度が異なるのが特徴です。
違い3:資格を得るための要件
ケアマネになるには、法定資格にもとづく業務などの実務経験を積んだうえで、都道府県の試験に合格し、実務研修を修了する必要があります。
相談支援専門員には試験がありません。障害者の保健・医療・福祉・就労・教育の分野での実務経験(業務の内容によって3年、5年または10年)を満たしたうえで、相談支援従事者初任者研修を修了することで要件を満たします。資格を得た後も、5年度ごとに現任研修を修了する必要があります。
出典:沖縄県「相談支援従事者研修」 https://www.pref.okinawa.jp/kyoiku/shogaifukushi/1007022/1018749/1007073.html
ケアマネの資格は2026年の法改正で更新制が廃止されることになりましたが、相談支援専門員は現任研修の受講が引き続き要件となっている点も異なります。
相談支援専門員とケアマネが一緒に関わる場面
障害のある人の生活を支えるうえで、相談支援専門員とケアマネが連携する場面は少なくありません。代表的な場面を紹介します。
障害のある人が65歳を迎えるとき
障害福祉サービスを利用している人が65歳になると、介護保険のサービスで同じような支援を受けられる場合は、原則として介護保険が優先されます。このとき、相談支援専門員からケアマネへ担当が引き継がれたり、介護保険と障害福祉サービスを併用する場合は両者が協力して計画を作ったりします。
ただし、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスがない場合や、本人の状態によっては、障害福祉サービスを引き続き利用できることもあります。一律に切り替えるのではなく、本人の生活が途切れないよう、65歳になる前から両者が情報を共有しておくことが大切です。
家族のなかに介護と障害の両方の課題があるとき
高齢の親を介護している家族に、障害のある子どもや、ケアが必要なきょうだいがいる場合もあります。こうした世帯では、ケアマネが親の支援を、相談支援専門員が子どもの支援を担当し、世帯全体の生活をどう支えるかを一緒に考える必要があります。
国も、ケアマネがヤングケアラーや障害者、生活困窮者などの事例について学ぶことを重視しており、2024年度の改定では、特定事業所加算の要件に、こうした他制度に関する事例検討会や研修への参加が加えられました。
出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf
共生型サービスを利用するとき
介護保険と障害福祉の両方の指定を受けた「共生型サービス」の事業所では、障害のある人が65歳を過ぎても、なじみの事業所でサービスを受け続けられる場合があります。こうしたサービスを使うときも、ケアマネと相談支援専門員が利用者の情報を共有することが欠かせません。
相談支援専門員とケアマネのキャリアの行き来
相談支援専門員とケアマネは、どちらの経験も、もう一方の仕事に活かせる専門職です。最後に、キャリアとして行き来する方法を紹介します。
相談支援専門員からケアマネを目指す
相談支援専門員として相談援助の業務に従事した期間は、ケアマネの受験資格となる実務経験の対象になります。相談援助業務に通算5年以上かつ900日以上従事していれば、法定資格がなくてもケアマネの試験を受けられます。
出典:兵庫県「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の合格者等の状況」 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf27/h29sikenkekka.html
障害福祉の分野で培った、本人の意思を尊重した支援や、幅広い社会資源を組み合わせる力は、高齢者のケアマネジメントでも大きな強みになります。
ケアマネから相談支援専門員を目指す
ケアマネから相談支援専門員を目指す場合は、相談支援専門員の実務経験の要件を満たしているかを確認する必要があります。老人福祉施設や介護老人保健施設などでの相談支援業務や、介護福祉士などの資格にもとづく業務の経験が、要件の対象になる場合があります。
出典:福岡県「相談支援専門員になるためには」 https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/680000_61691333_misc.pdf
自分の経験が対象になるかどうかは業務の内容によって判断されるため、相談支援従事者研修を実施する都道府県に確認しましょう。
両方の資格を持つ強み
ケアマネと相談支援専門員の両方の資格を持つ人は、65歳を迎える障害のある人の移行支援や、介護と障害の課題が重なる世帯の支援で、両方の制度を理解したうえで調整できる貴重な存在です。介護保険と障害福祉の両方の指定を受けた事業所などで、その強みを活かせます。
相談支援専門員とケアマネの違いについてのよくある質問
Q. 相談支援専門員とケアマネはどちらが難しいですか?
A. 資格の取り方が異なるため、一概には比べられません。ケアマネは試験に合格する必要がありますが、相談支援専門員は試験がない代わりに、業務の内容によって3年から10年の実務経験が必要です。
Q. 相談支援専門員とケアマネは兼務できますか?
A. 事業所の人員基準や、業務に支障がないかによって判断されます。介護保険と障害福祉の両方の事業を行う法人では、両方の資格を持つ職員が兼務しているケースもあります。
Q. 障害のある人が65歳になったら、必ずケアマネに担当が変わりますか?
A. 介護保険のサービスで同様の支援を受けられる場合は介護保険が優先されますが、障害福祉サービスを引き続き利用できる場合もあります。介護保険と障害福祉サービスを併用する場合は、ケアマネと相談支援専門員が連携して支援します。
Q. 相談支援専門員の経験でケアマネの試験を受けられますか?
A. 受けられます。相談支援専門員として相談援助業務に通算5年以上かつ900日以上従事していれば、受験資格の対象になります。
Q. サービス等利用計画とケアプランは何が違いますか?
A. サービス等利用計画は障害福祉サービスの計画、ケアプランは介護保険サービスの計画です。作成の流れは似ていますが、根拠となる法律やサービスの範囲、給付の仕組みが異なります。
相談支援専門員とケアマネの違いについてのまとめ
相談支援専門員は障害福祉サービスのサービス等利用計画を、ケアマネは介護保険サービスのケアプランを作る専門職です。相談支援専門員には試験がなく、実務経験と研修で要件を満たし、5年度ごとの現任研修が必要です。65歳を迎える障害のある人の支援などでは両者の連携が欠かせません。互いの経験は、キャリアの行き来にも活かせます。

