ケアマネの実務研修に補助金は使える?受講料の目安と、申請で損をしないための順番
監修者

名前 / Name
大石 智之
実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。
その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。
さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。
約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。
設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。
現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。
ケアマネ試験に合格すると、次に待っているのが実務研修の受講料の支払いです。「数万円の出費は痛い」「補助金は使えないのか」と気になる方も多いでしょう。実務研修の費用は、国の教育訓練給付や自治体の補助、勤務先の支援で軽くできる場合があります。ただし、制度によっては受講前の手続きが必要です。この記事では、受講料の目安、使える可能性がある制度、申請の順番と注意点を解説します。
ケアマネ実務研修にかかる費用の目安
補助金を検討する前に、まずは実務研修でどれくらいの費用がかかるのかを把握しておきましょう。ここでは、受講料の目安と、受講料以外にかかりやすい費用、支払いの時期を紹介します。
受講料は都道府県によって異なる
実務研修の受講料は、都道府県や研修実施機関によって異なります。一例として、茨城県の令和8年度の予定では、実務研修は17日間程度(87時間以上)で、受講料は62,000円(予定)とされています。 (出典:茨城県「令和8年度 介護支援専門員各種研修等日程一覧(予定)」https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/chiiki/ninchi/documents/r8nittei_0611.pdf )
受講料以外にかかる費用も見込んでおく
受講料のほかに、テキストや資料の代金、集合研修の会場や実習先までの交通費、オンライン研修に参加するための通信環境の整備費などがかかることがあります。研修期間中に仕事を休む場合は、その間の収入が減る可能性も考えておく必要があります。
支払いは合格発表の直後に来る
実務研修の申込みは、合格発表から間もない時期に始まるのが一般的です。同じ茨城県の予定では、実務研修の申込期間は合格発表日から1週間程度とされています。補助制度の中には受講前の手続きが必要なものもあるため、合格発表を待たずに、使えそうな制度を調べておくことが大切です。
研修期間は冬から春にかけてが一般的
実務研修は、試験の翌年度にかけて数か月にわたって行われるのが一般的です。茨城県の令和8年度の予定では、2026年12月から2027年4月にかけて実施され、オンライン研修を中心に一部の班は集合形式で行われます。年度をまたいで研修が続くため、補助制度の申請年度がどちらになるかも確認しておきましょう。
ケアマネ実務研修で使える可能性がある補助制度
実務研修の費用負担を軽くする制度は、国、自治体、勤務先の3つに分けて考えると整理しやすくなります。それぞれ対象者や条件が異なるため、自分に当てはまるものを確認しましょう。
国の制度:教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、厚生労働大臣が指定した講座を修了した場合に、受講費用の一部がハローワークから支給される制度です。研修実施機関によっては、実務研修が指定講座になっていることがあります。特定一般教育訓練の場合、受講費用の40%(上限20万円)が支給され、修了後に目標とする資格を取得して就職した場合などは50%(上限25万円)に引き上げられます。 (出典:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_education.html )
国の制度を使うための条件
教育訓練給付を受けるには、雇用保険の加入期間などの条件を満たす必要があります。特定一般教育訓練の場合、原則として雇用保険の加入期間が3年以上必要で、初めて給付を受ける人は1年以上で受給できます。受講する実務研修が指定講座かどうかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムや研修実施機関の案内で確認しましょう。
自治体の制度:法定研修の受講料補助
都道府県や市区町村の中には、介護人材の確保を目的に、介護支援専門員の法定研修の受講料を補助しているところがあります。たとえば高松市では、介護支援専門員の法定研修に係る受講料等のうち、事業者が負担した部分の2分の1を助成しています。 (出典:高松市「介護支援専門員研修受講支援事業」https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/smph/kurashi/kurashi/nenkin/kaigohoken/service_jigyosha/kaigo20250723155.html )
対象となる研修の種類、補助の相手が本人か事業者か、実務研修が含まれるかどうかは自治体ごとに異なります。住んでいる地域や勤務先がある地域の自治体の案内を確認しましょう。
自治体の制度は年度ごとに内容が変わる
自治体の補助制度は、年度ごとの予算に基づいて実施されるため、前年度と内容や受付時期が変わることがあります。東京都でも介護支援専門員の法定研修の受講料補助事業が行われていますが、2026年6月の東京都福祉局のページ更新時点では、令和8年度の事業は決まり次第案内するとされていました。前年度の情報だけで判断せず、最新の要綱を確認することが大切です。
勤務先の制度:資格取得支援や受講料の負担
勤務先の法人が、実務研修の受講料や交通費を負担したり、研修日を出勤扱いにしたりする場合があります。介護職員等処遇改善加算の要件の中にも、資格取得のための支援として、研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、受講料などの費用の援助が例示されており、研修の支援に取り組む事業所は少なくありません。
事業所が使える助成金も確認してもらう
勤務先が研修費用を負担する場合、事業所側が国や自治体の助成金を活用できることがあります。職員の研修にかかる経費や、研修期間中の代替職員の確保にかかる費用を補助する制度もあるため、「事業所として使える助成金はないか」と勤務先の事務担当者に確認してもらうと、費用負担の相談が進みやすくなります。
補助金で損をしないための申請の順番と注意点
補助制度は、知っていても手続きの順番を間違えると使えなくなることがあります。特に教育訓練給付は、受講を始める前の手続きが必須です。ここでは、申請で損をしないための進め方を紹介します。
ステップ1:試験の結果が出る前に制度を調べる
受講料の補助制度には、受講前の申請が必要なもの、受講後に申請するもの、事業者が申請するものがあります。合格発表後は手続きの時間が限られるため、試験が終わった段階で、研修実施機関の案内、自治体のホームページ、勤務先の規程を確認しておきましょう。
ステップ2:教育訓練給付は受講開始の2週間前までに手続きする
特定一般教育訓練給付を受けるには、訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードの交付を受けたうえで、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認の手続きを行う必要があります。研修の申込みと並行して、早めにハローワークに相談しましょう。
ステップ3:勤務先への相談は申込み前に済ませる
勤務先が受講料を負担する場合、事前の申請や承認が条件になっていることがあります。自己負担で支払った後に相談すると対象外になることもあるため、研修の申込み前に上司や事務担当者に確認しておくと安心です。研修日の勤務の扱いや、受講後に一定期間勤務することが条件になっていないかも確認しておきましょう。
ステップ4:領収書と修了証は必ず保管する
補助金の申請では、受講料を支払ったことを示す領収書や払込受領証、受講決定通知、修了証書の提出を求められることが一般的です。研修が終わるまで、関係する書類はまとめて保管しておきましょう。
複数の制度を使うときの注意
同じ受講料に対して、複数の補助制度を重ねて使えない場合があります。たとえば、勤務先が受講料を負担した場合、本人が支払っていない部分は教育訓練給付の対象になりません。どの制度をどの費用に使うかを事前に整理し、それぞれの窓口に併用の可否を確認しましょう。
補助の対象外になりやすいケース
補助制度では、申請期限を過ぎた場合、研修を修了できなかった場合、受講後に指定された期間勤務しなかった場合などに、対象外になったり返還を求められたりすることがあります。テキスト代や交通費が補助の対象に含まれない制度もあるため、どの費用が対象になるのかを要綱で確認しておきましょう。
補助金が使えない場合に負担を抑える方法
条件が合わず補助制度を使えない場合でも、費用や負担を軽くする工夫はあります。研修期間を無理なく乗り切るために、事前に考えておきたいポイントを紹介します。
研修日程と仕事の調整を早めに行う
実務研修は十数日にわたって行われるため、欠勤扱いになると収入に影響します。日程が分かったらすぐに勤務先に共有し、有給休暇の使い方やシフトの調整を相談しましょう。オンラインで受講できる日程がある場合は、移動の時間と交通費を抑えられます。
研修修了後の職場の支援制度も比べる
実務研修を修了した後にケアマネとして働く職場を探す場合は、入職後の研修費用の負担や資格手当の有無も比べておきましょう。今後も研修の受講は続くため、研修費用を支援する職場を選ぶことは、長い目で見た負担の軽減につながります。
今後の制度の見直しにも注目する
2026年6月に成立した社会福祉法等の改正法では、ケアマネの資格更新の仕組みの廃止を含む法定研修の見直しが決まりました。国会の附帯決議では、研修の受講料を含む費用負担の軽減に向けた補助制度の見直しにも触れられています。今後、研修費用の支援策が変わる可能性があるため、都道府県の案内を定期的に確認しましょう。
受講の時期を見直すという選択肢もある
実務研修は、試験に合格した年度に受講しなかった場合でも、翌年度以降に受講を希望できる都道府県があります。勤務先の支援制度が整う時期や、自治体の補助の受付時期に合わせて受講時期を考えるのも一つの方法です。ただし、過去の合格者の受講受付には期限が設けられていることがあるため、受験地の都道府県の案内を確認しましょう。
ケアマネ実務研修の補助金についてのよくある質問
Q. 実務研修の受講料はどの制度でも補助されますか?
すべての人が補助を受けられるわけではありません。教育訓練給付は、受講する研修が指定講座であることや雇用保険の加入期間などの条件があります。自治体の補助も、地域や対象者が限られています。
Q. 教育訓練給付は研修が終わってから申請しても間に合いますか?
受給資格の確認は、受講開始日の2週間前までに済ませる必要があります。支給の申請自体は修了後に行いますが、事前の手続きをしていないと受け取れないため注意しましょう。
Q. 勤務先が受講料を払ってくれた場合、教育訓練給付も受けられますか?
受講者本人が支払っていない費用は、教育訓練給付の対象になりません。一部を自己負担した場合の扱いなどは、ハローワークに確認しましょう。
Q. 仕事をしていない場合でも補助は受けられますか?
教育訓練給付は、離職後1年以内で雇用保険の加入期間などの条件を満たしていれば対象になる場合があります。自治体の補助は、就労していることや地域内の事業所に勤務することが条件になっている場合があるため、要綱を確認しましょう。
Q. 資格更新制が廃止されたら、実務研修もなくなりますか?
法改正で廃止が決まったのは、研修の受講を要件とした資格更新の仕組みです。ケアマネになるための実務研修がなくなるわけではありません。研修内容の見直しなどは、今後示される国や都道府県の案内を確認しましょう。
ケアマネ実務研修の補助金についてのまとめ
ケアマネ実務研修の受講料は都道府県によって異なり、数万円の負担になります。国の教育訓練給付、自治体の受講料補助、勤務先の資格取得支援を組み合わせることで負担を軽くできる場合がありますが、教育訓練給付は受講開始の2週間前までの手続きが必要です。合格発表を待たずに制度を調べ、勤務先への相談と書類の保管を忘れずに進めましょう。す。ところから始めてください。

