実務研修

ケアプランとは?7つの書類の役割と、作成から見直しまでの流れ

admin_next

監修者

名前 / Name  
大石 智之

実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。

その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。

さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。

約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。

設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。

現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。

ケアプランは、介護保険サービスを「誰が、いつ、何のために」提供するかを決める計画書です。介護保険のサービスは、原則としてこのケアプランにもとづいて提供されます。とはいえ、ケアプランが何枚の書類でできていて、それぞれに何が書かれているのかまで説明できる人は多くありません。本記事では、ケアプランの種類と7つの書類の役割、作成から見直しまでの流れ、費用や最近の制度の動きまでを、国の通知をもとに整理します。


ケアプランとは

ケアプランの正式名称は「介護サービス計画」です。まずは、ケアプランが何のための計画なのか、どんな種類があるのかを確認します。

利用者の「望む暮らし」から逆算する計画書

ケアプランは、利用者がどのような生活を送りたいかという意向を出発点に、そのために解決すべき課題(ニーズ)、目標、必要なサービスを整理した計画書です。介護保険法では、居宅介護支援を「心身の状況や置かれている環境、本人や家族の希望などを踏まえて居宅サービス計画を作成し、サービス事業者との連絡調整などを行うこと」と定めています。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

大切なのは、ケアプランが「サービスの一覧表」ではないことです。どんな暮らしを目指し、そのために誰が何を担うのかを、利用者・家族・サービス事業者・医療職が共有するための道具です。

ケアプランの3つの種類

ケアプランには、利用者の状態や暮らす場所によって3つの種類があります。

  • 居宅サービス計画:自宅などで暮らす要介護1〜5の人のケアプラン。主に居宅介護支援事業所のケアマネが作成
  • 施設サービス計画:特別養護老人ホームなどの介護保険施設に入所している人のケアプラン。施設のケアマネが作成
  • 介護予防サービス計画:要支援1・2の人のケアプラン。主に地域包括支援センターが作成(指定を受けた居宅介護支援事業所も作成可能)

施設サービス計画は、外部のサービス事業所を選んで組み合わせる居宅サービス計画とは考え方が異なります。施設内の介護職、看護職、栄養士、リハビリ職などがそれぞれ何を担うかを整理し、施設での暮らしのなかで本人の意向をどう実現するかを計画するのが特徴です。

ケアプランは自分で作ることもできる

ケアプランは、利用者本人や家族が自分で作成することも認められています(いわゆるセルフケアプラン)。この場合は市町村への届出が必要で、サービス事業者との調整や毎月の利用票の作成なども自分で行うことになります。実際には手続きの負担が大きいため、多くの人がケアマネに作成を依頼しています。


ケアプランを構成する7つの書類

居宅サービス計画は、国が示した標準様式にもとづく第1表から第7表までの書類で構成されます。それぞれの役割を知っておくと、ケアプランを読み解きやすくなります。

第1表〜第3表:計画の中身を示す書類

第1表「居宅サービス計画書(1)」には、利用者と家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果や、総合的な援助の方針を記載します。利用者と家族の意向が異なる場合は、それぞれを区別して書くこととされています。

出典:東京都福祉局「居宅サービス計画書記載要領」 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/kyotaku_4_03

第2表「居宅サービス計画書(2)」には、生活全般の解決すべき課題(ニーズ)、長期目標・短期目標、それを達成するためのサービス内容や頻度を記載します。第3表「週間サービス計画表」は、1週間のサービスの予定と、利用者の日常の過ごし方を示す表です。

第4表・第5表:判断の根拠を残す書類

第4表「サービス担当者会議の要点」と第5表「居宅介護支援経過」は、ケアマネがケアマネジメントを進めるうえでの判断根拠となる帳票と位置付けられています。会議で何が検討され、どんな経過でプランが決まったのかを記録として残します。

第6表・第7表:サービスの利用と費用を管理する書類

第6表「サービス利用票」と第7表「サービス利用票別表」は、サービスの利用状況や費用を管理するための帳票です。毎月の予定と実績、区分支給限度額の範囲内に収まっているかなどを確認するために使います。

出典:厚生労働省「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」の一部改正等について https://www.mhlw.go.jp/content/000918580.pdf


ケアプランができるまでの流れ

ケアプランは、ケアマネが一人で机上で作るものではありません。利用者との面談から始まり、関係者との話し合いを経て確定し、その後も見直しを続けていきます。

アセスメント:23の標準項目で課題を整理する

ケアプラン作成の前提となるのがアセスメント(課題分析)です。国は、基本情報と、健康状態、ADL、認知機能、口腔衛生、食事摂取、介護力、居住環境などをあわせた23の「課題分析標準項目」を示しています。課題分析は、ケアマネの個人的な考え方だけで行うのではなく、課題を客観的に抽出できる合理的な方法で行う必要があるとされています。

出典:厚生労働省「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」の一部改正について https://www.mhlw.go.jp/content/001157205.pdf

2023年の改正では、主訴と意向を区別して記載するなど、利用者本人の思いをより丁寧に捉えるための見直しが行われました。

原案作成とサービス担当者会議

アセスメントの結果をもとに、ケアマネがケアプランの原案を作成します。そのうえでサービス担当者会議を開き、サービス事業者や主治医などの専門職から意見を聞いて内容を確定します。訪問リハビリテーションなど医療系のサービスを位置付ける場合は、主治の医師等の指示を確認する必要があります。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

確定したケアプランは利用者に説明して同意を得たうえで交付し、サービス事業者にも渡します。

モニタリングと見直し

サービス開始後は、少なくとも月1回の訪問でモニタリングを行い、目標に向かって支援が進んでいるかを確認します。2024年度からは、利用者の同意やサービス担当者会議での合意などの要件を満たせば、テレビ電話などを活用したモニタリングも可能になりました。この場合も、少なくとも2か月に1回は利用者宅を訪問する必要があります。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

状態の変化や入退院、要介護認定の更新などがあれば、アセスメントからやり直してケアプランを見直します。ケアプランは一度作って終わりではなく、利用者の変化に合わせて書き換え続ける計画です。

よいケアプランに共通する3つの条件

よいケアプランには共通点があります。1つ目は、本人の言葉で意向が書かれていることです。「安全に暮らす」のような誰にでも当てはまる表現ではなく、「孫の結婚式に自分の足で出席したい」のように、その人らしい目標が見えるプランは、関係者の目線をそろえる力を持ちます。

2つ目は、課題・目標・サービスが一本の線でつながっていることです。なぜそのサービスが必要なのかが第2表から読み取れれば、サービス事業者も目的を意識した支援ができます。3つ目は、介護保険サービスだけで組み立てないことです。家族の役割や地域の通いの場、民間のサービスなども含めて考えることで、利用者の生活全体を支える計画になります。


ケアプランの費用と、最近の制度の動き

最後に、ケアプランの作成にお金がかかるのかと、ケアプランをめぐる最近の制度の動きを整理します。利用者や家族からよく聞かれるポイントでもあります。

在宅のケアプラン作成は自己負担なし

居宅介護支援事業所にケアプランの作成を依頼する場合、利用者の自己負担はありません。ケアプラン作成への利用者負担の導入(いわゆるケアプラン有料化)は長年議論されてきましたが、2025年12月の社会保障審議会介護保険部会の意見でも、在宅の利用者全体への導入は見送られました。

出典:厚生労働省「社会保障審議会介護保険部会意見」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68030.html

有料老人ホームの入居者は例外になる予定

一方で、2026年6月に公布された法改正では、登録制の対象となる住宅型有料老人ホームの入居者向けに「登録施設介護支援」という新しい仕組みが設けられ、こちらは原則1割の利用者負担を求めるとされています。

出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001717214.pdf

ケアプランのやり取りはデジタル化へ

ケアマネとサービス事業所の間で毎月やり取りされるケアプランの予定・実績は、これまでFAXや郵送が中心でしたが、国はデータでの共有を進めています。

出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1544 https://www.mhlw.go.jp/content/001751848.pdf

家族がケアプランを読むときのポイント

ケアプランを受け取った家族は、まず第1表の「利用者及び家族の生活に対する意向」と「総合的な援助の方針」を読みましょう。本人や家族が伝えた思いが反映されているかを確認できます。

次に第2表で、目標とサービスの組み合わせを確認します。目標の期間がいつまでか、家族が担う役割として何が書かれているかも見ておくと、介護の負担を見通しやすくなります。わからない言葉や納得できない点があれば、サービス担当者会議やモニタリングの機会にケアマネへ遠慮なく質問しましょう。ケアプランは、利用者と家族が内容を理解し、同意してはじめて成り立つ計画です。

市町村による「ケアプラン点検」

作成されたケアプランは、市町村による「ケアプラン点検」の対象になることがあります。ケアプラン点検は、介護給付を適正に行うための取り組みの一つで、市町村の担当者や主任ケアマネなどが、ケアマネと一緒にケアプランを確認し、自立支援につながる内容になっているかを話し合うものです。

点検はケアマネを責めるためのものではなく、第三者の視点でプランを見直し、気づきを得る機会と位置付けられています。日ごろから、アセスメントの内容とケアプランの目標、サービスがつながっていることを説明できるようにしておくと、点検を前向きな学びの場として活用できます。


ケアプランについてのよくある質問

Q. ケアプランとケアマネジメントは何が違いますか?

A. ケアマネジメントは、アセスメントからケアプラン作成、サービス担当者会議、モニタリングと見直しまでの一連のプロセス全体を指します。ケアプランは、そのプロセスのなかで作られる計画書です。

Q. ケアプランがなくても介護保険サービスは使えますか?

A. 在宅で介護保険サービスを利用する場合、原則としてケアプランにもとづいてサービスが提供されます。ケアマネに作成を依頼するか、自分でケアプランを作成して市町村に届け出る必要があります。

Q. ケアプランの内容に納得できない場合はどうすればいいですか?

A. ケアプランは利用者の同意を得て確定するものです。内容に納得できない場合は、遠慮せずケアマネに希望を伝え、見直しを依頼しましょう。話し合いが難しい場合は、事業所の管理者や市町村、地域包括支援センターに相談できます。

Q. ケアプランはどのくらいの頻度で見直されますか?

A. 少なくとも月1回のモニタリングで状況を確認し、要介護認定の更新時や状態が変わったときなどに見直します。短期目標の期間が終わるタイミングも見直しのきっかけになります。

Q. ケアプランの作成にお金はかかりますか?

A. 在宅のケアプラン作成には自己負担はかかりません。ただし今後新設される住宅型有料老人ホーム入居者向けの「登録施設介護支援」では、原則1割の利用者負担が求められる予定です。


ケアプランについてのまとめ

ケアプランは、利用者が望む暮らしから逆算して課題・目標・サービスを整理した計画書で、居宅・施設・介護予防の3種類があります。居宅サービス計画は第1表から第7表で構成され、23の標準項目によるアセスメントをもとに作られます。在宅のケアプラン作成は自己負担なしで、有料化は見送られました。作って終わりではなく、変化に合わせて見直し続けることが大切です。


執筆者
ケアマネクスト編集部
ケアマネクスト編集部
ケアマネとして働く方のキャリアの「次」と、事業所のこれからの「次」。
その両方の後押しになるよう、試験や制度、働き方、事業承継の情報をお届けしています。
記事URLをコピーしました