要介護4のケアプラン例|在宅で暮らし続けるためのサービスの組み合わせ方を3つのケースで解説
監修者

名前 / Name
大石 智之
実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。
その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。
さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。
約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。
設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。
現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。
要介護4は、日常生活のほとんどの場面で介護が必要になる段階です。在宅生活を続けるには、介護サービスに加えて医療との連携や家族の負担への配慮が欠かせず、ケアプランを組み立てる難しさも一気に増します。本記事では、要介護4の状態の目安と区分支給限度額を確認したうえで、よくある3つのケースのケアプラン例と1週間の過ごし方、プランを組むときの注意点を紹介します。
要介護4とはどんな状態か
ケアプランを考える前に、要介護4という区分が何を意味しているのか、使えるサービスの量はどのくらいなのかを確認しておきましょう。
「介護にかかる時間」で決まる区分
要介護度は、病名や「寝たきりかどうか」といった状態像ではなく、介護にかかる手間の多さを時間に置き換えた「要介護認定等基準時間」によって判定されます。要介護4は、この基準時間が90分以上110分未満、またはこれに相当すると認められる状態です。
出典:厚生労働省「要介護認定の仕組みと手順」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000126240.pdf
要介護認定の研修資料でも、「寝たきり」などの状態像から要介護度を決めることはできないと説明されています。同じ要介護4でも、身体の介助が中心の人もいれば、認知症による見守りや対応に手間がかかる人もいます。ケアプランは要介護度ではなく、その人の状態とアセスメントの結果から組み立てることが大前提です。
出典:埼玉県「要介護認定について②―介護認定審査会での審査判定―」 https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/266826/02.pdf
区分支給限度額は30,938単位
在宅サービスを介護保険で利用できる1か月の上限(区分支給限度基準額)は、要介護4の場合30,938単位です。地域やサービスによって1単位あたりの単価が異なるため、金額にするとおおむね30万9,380円から35万2,000円程度になります。
出典:大田区「在宅サービスの支給限度額」 https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/fukushi/kaigo/kyotakusabisu.html
なお、医師や薬剤師などが自宅を訪問して療養上の管理や指導を行う居宅療養管理指導は、区分支給限度額の対象外です。限度額の範囲で介護サービスを組みつつ、医療系の支援を上乗せできる点は、要介護4のケアプランで押さえておきたいポイントです。
出典:目黒区「区分支給限度額」 https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/kaigo/kaigoriyoannai/kyufu/service/kubunsikyugendogaku.html
施設への入所も選択肢に入る
要介護4になると、在宅生活を続けるか、施設への入所を考えるかを本人や家族と話し合う場面も増えます。特別養護老人ホームへの新規入所は、原則として要介護3以上の人が対象です。
出典:滋賀県「特別養護老人ホーム入所ガイドライン」 https://www.pref.shiga.lg.jp/ed00/4526.html
在宅での生活を支えるケアプランを作りながらも、将来の住まいの選択肢を早めに家族と共有しておくことが、いざというときの判断を助けます。
ケース別に見る要介護4のケアプラン例
ここからは、要介護4でよく見られる3つのケースについて、ケアプランの第2表にあたるニーズ・目標・サービス内容の例を紹介します。いずれも架空の事例で、実際のプランは本人や家族のアセスメントにもとづいて作成します。
ケース1:脳梗塞の後遺症で、ベッド上の生活が中心になった
80代男性。右半身にまひがあり、移乗や排せつに全面的な介助が必要。80代の妻と二人暮らしで、妻も腰痛を抱えている。
- ニーズ:「住み慣れた家で、妻と一緒に暮らし続けたい」
- 長期目標:床ずれを作らず、自宅で安定した生活を続けられる
- 短期目標:日中は車いすに座って過ごす時間を持ち、妻の介助の負担を減らす
- サービス内容:訪問介護(朝夕のおむつ交換・体位変換)、訪問入浴介護、訪問看護(皮膚の観察・健康管理)、福祉用具貸与(特殊寝台・床ずれ防止用具・車いす)、短期入所生活介護(月に数日、妻の休息のため)
このケースでは、妻の体力が在宅生活を続けられるかどうかの鍵になります。介助の手間が大きい時間帯をサービスで支え、妻が倒れない計画にすることが大切です。
ケース2:認知症が進み、日中は一人で過ごしている
80代女性。認知症の進行により、食事や服薬、排せつに声かけと介助が必要。夜間に落ち着かなくなることがある。同居の長女は日中仕事に出ている。
- ニーズ:「娘に迷惑をかけず、家で穏やかに過ごしたい」
- 長期目標:日中も安全に過ごし、長女が仕事を続けられる
- 短期目標:通所介護に通う日を増やし、生活のリズムを整える
- サービス内容:通所介護(週5日・入浴・昼食)、訪問介護(通所のない日の昼食と服薬の介助)、居宅療養管理指導(薬剤師による服薬の確認)、長女による朝夕の見守り
日中独居のケースでは、通所サービスで生活のリズムを作ることが、夜間の落ち着かなさを和らげることにもつながります。主治医とも連携し、症状の変化を共有しておきましょう。
ケース3:退院直後で、医療的なケアが必要
70代女性。肺炎で入院後、体力が大きく低下して要介護4に。胃ろうを造設し、たんの吸引が必要な場面もある。夫と息子夫婦と同居。
- ニーズ:「家族のいる家に帰って、安心して療養したい」
- 長期目標:家族と協力しながら、自宅で体調を崩さずに過ごせる
- 短期目標:退院後1か月、家族が医療的なケアに慣れ、体調の変化に早く気づける
- サービス内容:訪問看護(胃ろうの管理・吸引・家族への指導)、訪問診療(主治医)、訪問介護(清拭・おむつ交換)、福祉用具貸与(特殊寝台・床ずれ防止用具)、吸引器の手配(主治医・医療機関と調整)、家族による経管栄養の実施
退院直後のケースでは、入院中から病院と連携し、退院前カンファレンスで必要なサービスと家族の役割を確認しておくことが重要です。医療系サービスを位置付ける場合は、主治医の指示を確認しましょう。
要介護4の1週間の過ごし方の例
ケアプランの第3表「週間サービス計画表」には、サービスの予定と、利用者の平均的な1日の過ごし方を記載します。ここでは、ケース1をもとに1週間の過ごし方の例を紹介します。
平日の1日の流れ
朝8時、訪問介護のヘルパーがおむつ交換と着替え、車いすへの移乗を手伝います。午前中は妻と車いすで過ごし、昼食は妻が準備します。午後に訪問看護が来る日は、皮膚の状態や血圧を確認し、体調に合わせて体位の工夫を妻に伝えます。夕方17時に再びヘルパーが訪問し、ベッドへの移乗とおむつ交換を行います。夜間の体位変換は、床ずれ防止用具を使うことで妻の負担を減らしています。
1週間のサービスの配置
訪問介護は毎日朝夕の2回、訪問入浴介護は週2回、訪問看護は週1回とし、入浴のある日とない日で妻の負担に差が出ないように配置しています。月に数日は短期入所生活介護を利用し、妻が自分の通院や休息に使える日をつくります。
区分支給限度額の中で優先順位をつける
要介護4は区分支給限度額が大きい一方で、訪問サービスを1日に何度も組むと、すぐに上限に近づきます。限度額を超えた分は全額自己負担になるため、「本人や家族にとって手放せない支援はどれか」を話し合い、優先順位をつけることが大切です。福祉用具や住宅改修で介助そのものを減らせないかを先に検討すると、サービスの量を抑えながら負担を軽くできることもあります。
要介護4のケアプランを組むときの注意点
最後に、要介護4のケアプランを組み立てるときに、特に気をつけたいポイントを紹介します。
家族の介護力を必ずアセスメントに含める
要介護4の在宅生活は、家族の支えなしには成り立たないことがほとんどです。課題分析標準項目にも「介護力」があり、介護者の有無や介護の意思、負担の状況を把握することが求められています。介護者が高齢だったり、仕事をしていたりする場合は、その状況を前提にした計画にしましょう。
出典:東京都福祉局「居宅サービス計画書記載要領・課題分析標準項目」 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/kyotaku_4_03
床ずれ・誤嚥・脱水のリスクを先回りする
要介護4では、ベッドで過ごす時間が長くなることで床ずれ、食事のときの誤嚥、水分不足による脱水といったリスクが高まります。訪問看護や主治医と連携し、早めに兆候に気づける体制を計画に盛り込みましょう。
サービス担当者会議で役割分担をはっきりさせる
要介護4のケアプランでは、訪問介護、訪問看護、福祉用具、主治医など関わる職種が多くなります。サービス担当者会議では、誰がどの場面で何を確認するのか、体調が変わったときに誰に連絡するのかをはっきりさせておきましょう。役割があいまいなままだと、床ずれの兆候や食事量の低下などの変化が見過ごされやすくなります。
「最期をどこで迎えたいか」を少しずつ話し合う
要介護4は、人生の最終段階をどう過ごしたいかを考え始める時期でもあります。急に結論を求めるのではなく、日々の訪問のなかで本人や家族の思いを少しずつ聴き取り、記録に残していくことが、いざというときに本人の意思を尊重した支援につながります。
要介護4のケアプランについてのよくある質問
Q. 要介護4でも在宅で生活できますか?
A. できます。訪問介護や訪問看護、通所サービス、短期入所、福祉用具などを組み合わせれば、在宅生活を続けることは可能です。ただし家族の介護力や住環境によって難しさは大きく変わるため、ケアマネと相談しながら計画を立てましょう。
Q. 要介護4の区分支給限度額はいくらですか?
A. 30,938単位で、金額にするとおおむね30万9,380円から35万2,000円程度です。利用者負担は所得に応じて1割から3割です。
Q. 限度額を超えてサービスを使うことはできますか?
A. 使うことはできますが、限度額を超えた分は全額自己負担になります。居宅療養管理指導のように限度額の対象外となるサービスもあるため、ケアマネに相談しましょう。
Q. 要介護4で特別養護老人ホームに入所できますか?
A. 特別養護老人ホームは原則として要介護3以上が対象のため、要介護4の人は入所の申し込みができます。地域によっては待機者が多い場合もあるため、早めに情報を集めておくと安心です。
Q. 要介護4と要介護5のケアプランは何が違いますか?
A. 要介護度だけでプランが決まるわけではありませんが、一般に要介護5では介護の手間がさらに増え、医療的なケアや看取りを見据えた支援の比重が大きくなります。
要介護4のケアプランについてのまとめ
要介護4は、介護の手間を表す要介護認定等基準時間が90分以上110分未満に相当する状態で、区分支給限度額は30,938単位です。ケアプランは要介護度ではなく本人の状態とアセスメントから組み立て、家族の介護力を必ず考慮しましょう。限度額の中でサービスの優先順位をつけ、医療との連携や将来の住まいの選択肢についても、本人や家族と早めに話し合うことが大切です。

