実務研修

要介護2のケアプラン例|できることを保ちながら在宅生活を支える3つのケースと組み立て方

admin_next

監修者

名前 / Name  
大石 智之

実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。

その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。

さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。

約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。

設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。

現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。

要介護2は、身の回りのことの一部に介助が必要になり、日々の生活に支えが欠かせなくなってくる段階です。まだ自分でできることも多いため、ケアプランでは「手伝いすぎずに、できることを保つ」視点がとても大切になります。本記事では、要介護2の状態の目安と区分支給限度額を確認したうえで、よくある3つのケースのケアプラン例と、福祉用具や生活援助など要介護2で押さえたい制度のポイント、プランを組むときの注意点を紹介します。


要介護2とはどんな状態か

まずは、要介護2という区分の目安と、介護保険で利用できるサービスの量を確認します。

介護の手間を表す基準時間は50分以上70分未満

要介護度は、介護にかかる手間の多さを時間に置き換えた「要介護認定等基準時間」で判定されます。要介護2は、この基準時間が50分以上70分未満、またはこれに相当すると認められる状態です。

出典:厚生労働省「要介護認定の仕組みと手順」 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000126240.pdf

同じ要介護2でも、身体の衰えが中心の人もいれば、物忘れなど認知機能の低下が中心の人もいます。要介護度だけでプランを決めるのではなく、その人の状態とアセスメントの結果から組み立てることが大前提です。

区分支給限度額は19,705単位

在宅サービスを介護保険で利用できる1か月の上限(区分支給限度基準額)は、要介護2の場合19,705単位です。地域やサービスによって1単位あたりの単価が異なるため、金額にするとおおむね19万円台から22万円台になります。

出典:大田区「在宅サービスの支給限度額」 https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/fukushi/kaigo/kyotakusabisu.html

要介護4と比べると使えるサービスの量は少ないため、何を優先するかを利用者や家族と話し合いながら組み立てることが大切です。

「できること」が残っている段階

要介護2の人の多くは、歩行や食事、排せつなどを、見守りや一部の介助があれば自分で行えます。この段階でサービスを入れすぎると、本人が自分でできることまで代わりに行ってしまい、かえって心身の機能が低下するおそれがあります。重度化を防ぎ、できることを保つことが、要介護2のケアプランの大きなテーマです。


ケース別に見る要介護2のケアプラン例

ここからは、要介護2でよく見られる3つのケースについて、ニーズ・目標・サービス内容の例を紹介します。いずれも架空の事例で、実際のプランは本人や家族のアセスメントにもとづいて作成します。

ケース1:物忘れが出始め、一人暮らしを続けたい

80代女性。物忘れが増え、服薬や火の始末に不安がある。歩行は自立しているが、買い物の量が多いと疲れやすい。長男は車で30分ほどの距離に住み、週末に訪れる。

  • ニーズ:「住み慣れた家で、自分のペースで暮らし続けたい」
  • 長期目標:火の不始末や飲み忘れなく、一人暮らしを続けられる
  • 短期目標:薬カレンダーと声かけで、飲み忘れのない日を増やす
  • サービス内容:訪問介護(服薬の声かけ・一緒に行う調理)、通所介護(週2回・入浴と交流)、居宅療養管理指導(薬剤師による服薬の確認)、長男による週末の買い物と見守り

調理をヘルパーがすべて代わりに行うのではなく、本人と一緒に行う形にすることで、できることを保ちながら火の始末を見守れます。

ケース2:膝の痛みで外出が減り、夫婦二人暮らし

70代男性。両膝の痛みで長く歩けなくなり、外出の機会が減っている。同年代の妻と二人暮らしで、妻の負担が増えている。

  • ニーズ:「痛みを和らげて、また近所を散歩できるようになりたい」
  • 長期目標:杖を使って、近所の公園まで歩いて出かけられる
  • 短期目標:週2回の機能訓練で、家の周りを休みながら歩ける
  • サービス内容:通所リハビリ(週2回・下肢の筋力訓練)、福祉用具(多点杖・玄関の固定用スロープ)、住宅改修(玄関と浴室の手すり)、妻による散歩の付き添い

外出の目標を具体的な場所で示すと、本人の意欲を引き出しやすくなります。

ケース3:軽いまひがあり、日中は一人で過ごす

70代女性。脳梗塞の後遺症で左手足に軽いまひがある。息子夫婦と同居しているが、日中は二人とも仕事に出ている。

  • ニーズ:「家族が仕事に行っている間も、安心して過ごしたい」
  • 長期目標:日中も転倒せずに、自分で昼食やトイレを済ませられる
  • 短期目標:通所サービスに通い、決まった生活のリズムを作る
  • サービス内容:通所介護(週3回・入浴と機能訓練)、訪問介護(通所のない日の昼の見守り)、福祉用具貸与(手すり・歩行器)、息子夫婦による朝夕の声かけ

要介護2で押さえたい制度のポイント

要介護2のケアプランでは、福祉用具や生活援助など、要介護度によって扱いが変わる制度を正しく押さえておく必要があります。

車いすや特殊寝台は要介護2から原則利用できる

車いすや特殊寝台(介護用ベッド)などの福祉用具の貸与は、要支援や要介護1の人は原則として対象外ですが、要介護2からは原則として利用できるようになります。ただし、使える用具が増えても、本人の状態に合わない用具を入れると、かえって動く機会を減らしてしまうことがあります。必要性をアセスメントで確かめてから位置付けましょう。

出典:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html

杖や歩行器は「貸与」か「購入」かを選べる

2024年4月から、固定用スロープ、歩行器(歩行車を除く)、単点杖(松葉づえを除く)、多点杖の4つは、福祉用具貸与と特定福祉用具販売のどちらかを選べるようになりました。長く使う見込みがある場合は購入のほうが負担が少なくなることもあります。ケアマネは、利用者に両方の選択肢を説明し、多職種の意見も踏まえて提案することが求められます。

出典:同上 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212398.html

生活援助は月34回以上で届出が必要

掃除や調理、買い物などの生活援助が中心の訪問介護を、要介護2の人のケアプランに月34回以上位置付ける場合は、市町村への届出が必要です。届け出たケアプランは市町村が点検し、サービス内容の再検討を求められることもあります。生活援助が多く必要な場合は、なぜその回数が必要なのかを、アセスメントの結果とあわせて記録しておきましょう。

出典:世田谷区「訪問介護(生活援助中心型)の回数が多いケアプランの届出について」 https://www.city.setagaya.lg.jp/02061/2340.html


要介護2のケアプランを組むときの注意点

最後に、要介護2のケアプランを組み立てるときに、特に気をつけたいポイントを紹介します。

「代わりにやる」より「一緒にやる」を選ぶ

要介護2の人は、少しの手助けがあれば自分でできることがまだ多く残っています。ヘルパーが家事をすべて代わりに行うより、本人と一緒に行う形にしたほうが、身体の機能や生活への意欲を保ちやすくなります。訪問介護の内容を決めるときは、「本人ができる部分はどこか」をサービス事業所と共有しましょう。

通いの場や地域とのつながりも計画に入れる

要介護2になると、外出の機会が減り、人との交流が少なくなりがちです。通所サービスだけでなく、近所の人との付き合いや地域の集まり、趣味の活動など、本人がこれまで大切にしてきたつながりを続けられるよう計画に盛り込むことで、生活の張り合いを保てます。

家族の負担と変化のサインを見逃さない

要介護2の時期は、家族が「まだ自分たちで何とかできる」と無理を重ねやすい時期でもあります。家族の疲れや、本人の物忘れの進み方、転倒の回数など、状態が変わるサインを早めにつかみ、必要に応じて区分変更の申請やサービスの見直しにつなげましょう。


要介護2のケアプランについてのよくある質問

Q. 要介護2の区分支給限度額はいくらですか?

A. 19,705単位で、地域によって金額は異なりますが、おおむね19万円台から22万円台です。利用者負担は所得に応じて1割から3割です。

Q. 要介護2で介護用ベッドは借りられますか?

A. 原則として借りられます。介護用ベッド(特殊寝台)や車いすは、要介護2から原則として福祉用具貸与の対象になります。

Q. 要介護2で一人暮らしは続けられますか?

A. 続けている人も多くいます。訪問介護や通所サービス、配食などを組み合わせ、家族や近所の見守りも含めて計画を立てることで、一人暮らしを支えられます。

Q. 要介護2で特別養護老人ホームに入所できますか?

A. 特別養護老人ホームは原則として要介護3以上が対象です。ただし、認知症や家族の状況などやむを得ない事情がある場合は、特例として入所が認められることがあります。

Q. 要介護2と要介護1のケアプランは何が違いますか?

A. 要介護2では区分支給限度額が増え、介護用ベッドや車いすなどの福祉用具も原則として利用できるようになります。ただし要介護度だけでプランが決まるわけではなく、本人の状態に合わせて組み立てます。


要介護2のケアプランについてのまとめ

要介護2は、要介護認定等基準時間が50分以上70分未満に相当する状態で、区分支給限度額は19,705単位です。できることが多く残っている段階のため、「代わりにやる」より「一緒にやる」支援で重度化を防ぐことが大切です。車いすや介護用ベッドが原則利用できるようになる点、杖や歩行器の貸与・購入の選択制、生活援助の回数の届出も押さえておきましょう。


執筆者
ケアマネクスト編集部
ケアマネクスト編集部
ケアマネとして働く方のキャリアの「次」と、事業所のこれからの「次」。
その両方の後押しになるよう、試験や制度、働き方、事業承継の情報をお届けしています。
記事URLをコピーしました