試験資格

ケアマネの仕事内容とは?1か月の流れと、実際に時間を取られている業務

admin_next

監修者

名前 / Name  
大石 智之

実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。

その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。

さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。

約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。

設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。

現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。

「ケアマネはケアプランを作る人」。そう聞いても、毎日どんな順番で何をしているのかは、現場に出るまで見えにくいものです。実際には、訪問や会議、医療機関との連絡、月末月初の事務作業、さらに本来の業務外の対応まで、ケアマネの1か月はさまざまな仕事で埋まっています。本記事では、ケアマネの仕事の全体像と1か月の業務サイクル、国の調査でわかった時間の使い方、新人が最初の1年で身につけることまで、仕事内容を具体的に整理します。


ケアマネの仕事の全体像

ケアマネの仕事は、利用者が自分らしい生活を続けられるよう、必要なサービスを組み立て、調整し、見直し続けることです。まずは、ケアマネが日々どんな種類の仕事を抱えているのか、全体像を確認します。

ケアマネの仕事は4つに分けられる

ケアマネの仕事は、大きく次の4つに分けられます。

  • ケアマネジメント:相談、アセスメント、ケアプラン作成、サービス担当者会議、モニタリングと見直し
  • 給付管理:サービスの予定と実績を管理し、毎月の請求につなげる事務
  • 要介護認定に関わる手続き:申請の代行や認定調査
  • 連絡・調整:医療機関、サービス事業所、地域包括支援センター、行政との連携

このうち、利用者と直接向き合うケアマネジメントが仕事の中心ですが、実際の1日は残りの3つの仕事と細切れに組み合わさって進みます。この記事では、仕事が「いつ」「どれくらい」発生するのかという時間の視点から見ていきます。

ケアマネジメントは「作って終わり」ではない

ケアマネジメントは、アセスメントからケアプランの作成、サービス担当者会議を経て交付し、その後のモニタリングで見直すことを繰り返す循環の仕事です。入院や退院、状態の悪化があれば、その都度アセスメントからやり直します。一人の利用者を何年も担当することも多く、長い時間軸で生活を支え続ける仕事だと言えます。

要介護認定に関わる仕事

ケアマネは、要介護認定の手続きにも深く関わります。利用者に代わって認定の更新や区分変更の申請を行うほか、市町村から委託を受けて認定調査を行うこともあります。厚生労働省の職業情報提供サイトでも、市町村の委託を受けて高齢者の状態を基準どおりに確認・記録する認定調査が、ケアマネの代表的な仕事の一つとして挙げられています。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「介護支援専門員・ケアマネジャー」 https://shigoto.mhlw.go.jp/Occupation/Detail?occupationId=132

認定の結果によって使えるサービスの量が変わるため、利用者の普段の様子を主治医や調査員に正確に伝えることも、ケアマネの大切な役割です。


居宅ケアマネの1か月の業務サイクル

ケアマネの仕事には、毎月決まったリズムがあります。ここでは居宅介護支援事業所のケアマネを例に、月初・月中・月末で何をしているのかを紹介します。

月初:実績の確認と給付管理

月が変わると、まず前月にサービス事業所が提供した実績を集め、ケアプランの予定と照らし合わせます。そのうえで給付管理票を作成し、国民健康保険団体連合会へ提出します。実績が届かない、数字が予定と違うといった確認の電話が集中しやすいのもこの時期です。

ケアプランデータ連携システムを導入している事業所同士であれば、実績のやり取りや転記の手間を大きく減らせます。

月中:訪問、担当者会議、医療との連携

月の半ばは、担当利用者宅へのモニタリング訪問が中心です。あわせて、要介護認定の更新や区分変更の手続き、更新時のサービス担当者会議の開催、受診への同行、入院した利用者の情報を病院へ伝える入院時の連携、退院前カンファレンスへの参加などが入ります。新規の相談が入れば、契約やアセスメントの訪問も加わります。

月末:翌月の利用票づくり

月末には、翌月のサービス予定をまとめたサービス利用票と利用票別表を作り、利用者に確認してもらうとともに、各サービス事業所に提供票を送ります。訪問の合間に記録(居宅介護支援経過)を書き、加算の算定要件を満たしているかも確認します。


データで見るケアマネの時間の使い方

ケアマネの業務量は、担当する利用者の状態によって大きく変わります。国の調査研究から、実際にどこに時間がかかっているのかを見てみましょう。

利用者1人あたり月150分前後の労働時間

居宅介護支援事業所のケアマネを対象にした調査では、利用者1人あたり1か月の労働投入時間は、要介護1で152.0分、要介護5で155.6分でした。認定申請中の利用者では297.1分と、要介護1の約2倍の時間がかかっていました。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6(令和7年度老人保健健康増進等事業 三菱総合研究所調査より) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

認定前の段階では、制度の説明や暫定的なケアプランの作成、関係機関との調整が重なるため、新規の利用者を受け入れた月は業務が膨らみやすいことがわかります。

最も時間を使うのはケアプラン作成

同じ調査では、業務別に見るとケアプラン作成にかかる時間が最も多く、モニタリングや、書類の印刷・給付管理などの事務作業、地域包括支援センターなどとの連絡にかかる時間も多いことが示されています。

出典:厚生労働省 同上資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

利用者と向き合う時間を確保するためにも、事務作業をどれだけ効率化できるかが、ケアマネの働きやすさを左右します。

記録も大切な仕事の一部

訪問や電話、会議の内容は、居宅介護支援経過(第5表)などに記録として残します。記録は、ケアマネがなぜその判断をしたのかを示す根拠であり、担当が代わったときの引き継ぎや、運営指導(実地指導)で確認される資料にもなります。

訪問直後に要点だけでもメモを残す、音声入力を活用するなど、記録を後回しにしない工夫をしているケアマネも少なくありません。記録が溜まると月末の事務作業がさらに膨らむため、日々の小さな積み重ねが残業を減らす近道になります。

本来の業務ではない「シャドウワーク」も

ケアマネは、ゴミ出しや通院の送迎、金融機関の手続き、死後の事務など、本来の法定業務ではない対応を担わざるを得ない場面もあります。国の検討会の中間整理では、こうした業務を「法定業務」「保険外サービスとして対応しうる業務」「他機関につなぐべき業務」「対応困難な業務」に分類し、法定業務以外は市町村が主体となって地域全体の課題として協議する方向性が示されました。

出典:厚生労働省 同上資料(ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

身寄りのない高齢者が増えるなか、ケアマネが「何でも屋」にならない仕組みづくりが進められています。


新人ケアマネが最初の1年で身につけること

ケアマネの仕事は、資格を取った瞬間からすべてをこなせるものではありません。ここでは、新人ケアマネが最初の1年でどのように仕事を覚えていくのか、その段階と、つまずかないためのポイントを紹介します。

担当件数は少しずつ増やしていく

新人のうちは、先輩ケアマネから引き継いだ利用者や、比較的状態の安定した利用者を少数担当するところから始めるのが一般的です。給付管理の締め切りや更新の手続きなど、毎月のサイクルを一通り経験しながら、徐々に担当件数を増やしていきます。最初から多くの件数を任されると、事務作業に追われて利用者と向き合う時間が取れなくなるため、増やし方は職場とよく相談しましょう。

先輩の同行訪問で「聴き方」を学ぶ

ケアマネの仕事で最も身につけるのに時間がかかるのが、利用者や家族の話を聴き、本当の困りごとを引き出す面接の技術です。先輩ケアマネや主任ケアマネの訪問に同行し、どんな順番で何を尋ねているのか、沈黙にどう対応しているのかを間近で見ることが、何よりの学びになります。

制度の調べ方を覚える

介護保険の制度は、報酬改定や法改正のたびに細かく変わります。新人のうちから、厚生労働省の「介護保険最新情報」や、市町村が行う集団指導の資料など、一次情報の確認先を把握しておきましょう。わからないことを一人で抱え込まず、事業所の主任ケアマネや地域包括支援センターに相談する習慣も大切です。

どの職場でも求められる3つの力

働く場所は違っても、ケアマネに共通して求められる力があります。1つ目は、利用者や家族の言葉の奥にある本当の困りごとに気づく「聴く力」です。2つ目は、医師やサービス事業所など立場の違う人の意見をまとめる「調整する力」です。3つ目は、介護保険をはじめとする制度を正しく理解し、変化に合わせて学び続ける「知識を更新する力」です。

職業情報提供サイトでも、ケアマネに必要なスキルとして「傾聴力」や「対人援助サービス」が特に高く評価されています。介護職や看護職として現場で培った経験は、こうした力の土台になります。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag) https://shigoto.mhlw.go.jp/Occupation/Detail?occupationId=132


ケアマネの仕事内容についてのよくある質問

Q. ケアマネは介護(身体介助)もしますか?

A. 居宅介護支援事業所のケアマネは、基本的に身体介助を行いません。ただし施設によっては介護業務と兼務する場合があるほか、訪問中に転倒した利用者を支えるなど、とっさの対応が必要になることはあります。

Q. ケアマネ1人で何人くらいの利用者を担当しますか?

A. 居宅介護支援事業所の人員基準は、利用者44人ごとにケアマネ1人が目安です。報酬は、1人あたり45件以上(ICT活用と事務職員配置の場合は50件以上)になると超えた分が減額される仕組みのため、多くの事業所はこの範囲内で担当件数を調整しています。

Q. ケアマネの仕事で一番大変なことは何ですか?

A. 人によって異なりますが、利用者・家族・医師・サービス事業所など立場の違う人の意見を調整すること、月末月初に事務作業が集中すること、本来業務以外の対応を頼まれやすいことがよく挙げられます。

Q. 夜勤や休日出勤はありますか?

A. 夜勤や宿直はほとんどなく、平日の日勤が基本です。ただし、利用者や家族の都合に合わせて夜間や休日に対応することや、緊急時の連絡体制を取っている事業所もあります。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag) https://shigoto.mhlw.go.jp/Occupation/Detail?occupationId=132

Q. 未経験でもケアマネの仕事についていけますか?

A. ケアマネになるには一定の実務経験が必要なため、まったくの未経験から就くことはありません。資格取得後は実務研修で実習を経験し、職場では先輩ケアマネや主任ケアマネの同行訪問などで仕事を覚えていくのが一般的です。


ケアマネの仕事内容についてのまとめ

ケアマネの仕事は、アセスメントからケアプラン作成、サービス担当者会議、モニタリングまでのケアマネジメントが中心です。月初の給付管理、月中の訪問と会議、月末の利用票づくりというサイクルで動き、なかでもケアプラン作成と事務作業に多くの時間がかかっています。新人のうちは担当件数を少しずつ増やし、先輩の同行訪問で聴き方を学ぶことが、長く働き続けるための土台になります。


執筆者
ケアマネクスト編集部
ケアマネクスト編集部
ケアマネとして働く方のキャリアの「次」と、事業所のこれからの「次」。
その両方の後押しになるよう、試験や制度、働き方、事業承継の情報をお届けしています。
記事URLをコピーしました