ケアマネの受験資格に必要な実務経験の数え方。900日はいつから数えるのかを解説
監修者

名前 / Name
大石 智之
実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。
その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。
さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。
約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。
設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。
現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。
ケアマネ試験の申込でつまずく原因の大半は、実務経験の算定ミスです。必要なのは5年以上と900日以上の両方で、起算日は資格の登録日。さらに掛け持ち勤務は重複できず、対人援助でない業務は含まれません。同じ職場に長くいても要件を満たさないことがあります。この記事では公的資料をもとに、算定のルールをケース別に整理します。
実務経験の要件は「5年以上」と「900日以上」の両方
まず条件の構造を正確に押さえます。片方だけを見ていると、申込直前に不足が判明します。
年数と日数を同時に満たす必要がある
求められる実務経験は、従事期間が通算して5年以上であり、かつ従事日数が900日以上であることです。どちらか一方では要件を満たしません。
900日は単純計算すると年間180日、月に15日程度の勤務を5年続けたイメージです。フルタイム勤務であれば5年で自然に900日を超えますが、勤務日数が少ない働き方の場合、5年が経過しても900日に届かないことがあります。「5年働いたから受けられる」という前提が、もっとも多い誤解です。
出典:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」https://www.keamane.tokyo.jp/shiken/
起算日は「資格の登録日」以降
国家資格等に基づく業務で申請する場合、その業務の従事期間は資格の登録日以降の期間である必要があります。実務経験の開始日は、その業務で勤務し始めた年月日ではなく、資格が登録された日です。
介護福祉士として登録される前の無資格期間や、実務者研修を受けながら働いていた期間は算入できません。「その職場に何年いたか」ではなく「登録後に何年その資格の業務をしたか」で数えてください。同じ職場で10年働いていても、登録が5年前であれば実務経験は5年からのスタートです。
出典:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」https://www.keamane.tokyo.jp/shiken/
国家資格の業務と相談援助業務は合算できる
意外と知られていないのがこの点です。実務経験は、国家資格等に基づく業務のみ、相談援助業務のみ、そして両者を合わせた形のいずれでも計算できます。東京都福祉保健財団の案内でも、AのみまたはBのみ、もしくはA+Bで通算して5年以上かつ900日以上であることと明記されています。
たとえば介護福祉士として3年、その後に生活相談員として2年半といった経歴でも、合算して要件を満たせる可能性があります。「途中で職種が変わったから通算できない」と諦めていた人は、改めて計算し直す価値があります。
出典:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」https://www.keamane.tokyo.jp/shiken/
1日としてカウントできる日、できない日
年数より計算が難しいのが900日です。1日の数え方には明確なルールがあり、直感と異なる部分があります。
勤務形態は問われず、短時間でも1日
有利に働くルールから確認します。常勤、非常勤、パート等の勤務形態は問われません。さらに、勤務時間が短い場合も1日として算定されます。
つまり1日2時間の勤務でも、従事した日は1日としてカウントされます。「非常勤だから受験は無理」と自己判断する前に、実際の出勤日数を数えてみてください。週3日勤務でも年間150日前後になり、6年程度で900日に到達する計算になります。
出典:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」https://www.keamane.tokyo.jp/shiken/
掛け持ちしても日数は増えない
逆に不利に働くのがこちらです。同一期間に複数の施設・事業所等で業務に従事した場合、重複する従事期間は合算できません。さらに、1日に複数の施設・事業所等で業務に従事した場合であっても、従事日数は1日として数えられます。
午前は訪問介護、午後は施設という働き方をしていても、その日は1日です。掛け持ちの分だけ日数が積み上がるわけではありません。日数を早く貯めたい場合、勤務先の数ではなく出勤日数そのものを増やす必要があります。
出典:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」https://www.keamane.tokyo.jp/shiken/
休業・休職の期間は日数に入らない
900日は実際に業務へ従事した日数です。育児休業や長期の私傷病休職など、実際に勤務していない期間はカウントされません。
一方で年数のほうは在籍期間として経過していくため、5年の条件を先に満たしながら900日が大きく不足する、という状況が起こります。休業の予定がある人ほど、事前に日数を計算しておくと受験年度の見通しが立てやすくなります。
「業務の中身」で判断が分かれる
期間と日数を満たしていても、業務の内容によっては算入できません。ここが最も判断に迷う領域です。
対人援助が「本来業務」として位置づけられているか
判定の軸は、要援護者に対する直接的な対人援助業務が、本来業務として明確に位置づけられているかどうかです。東京都福祉保健財団の案内でも、いずれの業務内容においてもこの点が必要であるとされています。
「利用者と接する機会があった」という事実だけでは足りません。雇用契約書や辞令に記載された職務内容が、直接的な対人援助として説明できるかどうかが問われます。自分の職務が該当するか曖昧な場合は、書類を手元に用意したうえで確認に進んでください。
出典:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」https://www.keamane.tokyo.jp/shiken/
教育・研究・営業・事務の期間は含まれない
具体的に除外される業務も示されています。対象資格を有していても、要援護者に対する直接的な対人援助ではない業務、たとえば教育業務、研究業務、営業、事務等を行っている期間は実務経験に含まれません。
養成校の教員として勤務していた期間、資格を活かして福祉用具や医療機器の営業職に就いていた期間、法人本部で事務を担当していた期間は算入できません。資格を持ち、福祉・医療の業界で働いていたとしても、対人援助でなければ対象外という点は見落とされがちです。
出典:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」https://www.keamane.tokyo.jp/shiken/
管理業務と兼務していた期間の扱い
現場で最も相談が多いのが、管理者やサービス提供責任者として管理業務を担いながら、現場にも入っていたケースです。
この場合、対人援助が本来業務として位置づけられていたかどうかで判断が分かれます。管理業務が中心で対人援助が付随的だった期間は、認められない可能性があります。自己判断で「大丈夫だろう」と処理すると、申込後に不備が判明して受験自体ができなくなります。該当しそうな期間がある人は、必ず事前に確認してください。
計算した実務経験を証明するまで
自分の実務経験を計算できたら、次は書類で証明する段階です。ここで時間を取られる人が多いため、早めの準備が要ります。
実務経験証明書は勤務先ごとに必要
複数の職場の経験を通算する場合、証明は勤務先ごとに行います。実務経験証明書には勤務先の代表者印が必要で、退職済みの職場にも依頼しなければなりません。
思い出せる限りの勤務歴を早い段階で洗い出し、在籍期間と出勤日数を確認しておいてください。なお平成30年度試験からは、それまで証明書の提出が免除されていた人も含め、提出が必須要件となっています。「前回は不要だった」という前提は通用しません。
出典:大阪府「ケアマネ試験の受験要件の変更について」https://www.pref.osaka.lg.jp/o090100/kaigoshien/care/keamanesikenhenkou.html
過去に「省略受験」をしていた人は特に注意
かつて実務経験証明書の提出を省略できた人には、見落としやすい落とし穴があります。過去に提出した証明書が経過措置の実務経験を含んでおり、それを除いた有効な実務経験が5年未満または900日未満となる場合は、新規受験の扱いとなり、改めて要件を満たす実務経験証明書の提出が必要になります。
東京都福祉保健財団は具体例として、過去に提出した証明書の内容が介護福祉士登録前の実務経験2年と登録後3年だった場合、登録前の分は対象外となるため、登録後で5年以上かつ900日以上を満たす証明書を再提出することになると説明しています。「一度審査を通っているから今回も大丈夫」とは限りません。
出典:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」https://www.keamane.tokyo.jp/shiken/
判断に迷ったら試験実施機関に確認する
実務経験の判定は、最終的に受験する都道府県の試験実施機関が行います。職名と実際の業務内容が一致していないケースや、対人援助と管理業務が混在していた期間の扱いは、個別の判断になります。
第29回試験は2026年10月11日(日)実施で、申込受付はすでに終了しています。次に目指すのは2027年(第30回)試験です。申込期間は例年1か月程度しかないため、時間に余裕がある今のうちに勤務歴を整理し、疑問点を解消しておくのが確実です。
出典:公益財団法人東京都福祉保健財団「令和8年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験」https://www.keamane.tokyo.jp/shiken/
ケアマネの受験資格と実務経験についてよくある質問
算定でつまずきやすい点をまとめました。
5年働いていれば受験できますか?
できるとは限りません。従事期間が通算5年以上に加えて、従事日数900日以上を同時に満たす必要があります。勤務日数が少ない働き方では、5年が経過しても900日に届かないことがあります。
パートや非常勤でもカウントされますか?
されます。常勤、非常勤、パート等の勤務形態は問われず、勤務時間が短い場合も1日として算定されます。
資格を取る前に働いていた期間は含まれますか?
含まれません。国家資格等に基づく業務で申請する場合、実務経験の開始日は勤務を始めた日ではなく、資格が登録された日となります。
掛け持ちで働いていた期間は日数が2倍になりますか?
なりません。同一期間に複数の施設・事業所等で従事した場合、重複する期間は合算できません。1日に複数の事業所で働いた場合も、従事日数は1日です。
介護福祉士と生活相談員の期間は合算できますか?
できます。国家資格等に基づく業務のみ、相談援助業務のみ、または両者を合わせた形で、通算5年以上かつ900日以上であれば要件を満たします。
事務や営業をしていた期間はカウントできますか?
できません。対象資格を有していても、要援護者に対する直接的な対人援助ではない業務、たとえば教育業務、研究業務、営業、事務等を行っている期間は実務経験に含まれないとされています。
管理者をしながら現場に入っていた期間はどうなりますか?
対人援助が本来業務として明確に位置づけられていたかどうかで判断が分かれます。管理業務が中心だった期間は認められない可能性があるため、事前に試験実施機関へ確認してください。
ケアマネの受験資格と実務経験についてのまとめ
実務経験は、従事期間5年以上かつ従事日数900日以上の両方を満たす必要があります。起算日は資格の登録日で、それ以前の勤務は算入できません。勤務形態は問われず短時間でも1日と数えられる一方、掛け持ちの重複は合算できず、教育・研究・営業・事務の期間も対象外です。国家資格の業務と相談援助業務は合算できます。まずは勤務歴を書き出し、出勤日数を数えるところから始めてください。分の勤務日数を数えるところから始めましょう。

