ケアマネの受験資格、あなたは満たしてる?対象22資格と「5年・900日」の数え方
監修者

名前 / Name
大石 智之
実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。
その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。
さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。
約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。
設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。
現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。
「自分はケアマネ試験を受けられるのか」。調べ始めた人が最初につまずくのが受験資格です。2018年(第21回)の見直しで無資格の実務経験ルートが廃止され、現在は「国家資格等に基づく業務」と「相談援助業務」の2つに限られています。さらに実務経験は5年以上かつ900日以上と、2つの条件を同時に満たす必要があります。公的資料をもとに、対象資格・日数の数え方・証明書類・最新の緩和動向まで整理します。
ケアマネ試験の受験資格は「2つのルート」に限られる
現在の受験資格は、法定資格に基づく業務に従事したルートと、指定された相談援助業務に従事したルートの2つだけです。それぞれの対象範囲に加えて、かつて存在したルートが使えなくなった経緯と、「試験科目の免除」という誤解も確認します。
| ルート1:国家資格等 | ルート2:相談援助業務 | |
| 対象 | 22の法定資格の保有者 | 施設等で必置の相談援助職 |
| 求められる経験 | その資格に基づく業務 | 指定された相談援助業務 |
| 必要期間 | 通算5年以上かつ900日以上 | 通算5年以上かつ900日以上 |
| 起算日 | 資格登録日以降 | 該当職種に従事した日以降 |
| 主な該当者 | 介護福祉士、看護師、社会福祉士など | 生活相談員、支援相談員、相談支援専門員など |
ルート1:22の法定資格に基づく業務
1つ目は、保健・医療・福祉に関する法定資格を持ち、その資格に基づく業務に従事してきた人が対象になるルートです。介護保険法施行規則第113条の2で対象資格が定められており、次の22資格が挙げられています。
| 分野 | 対象となる法定資格 |
| 医療系 | 医師/歯科医師/薬剤師/保健師/助産師/看護師/准看護師 |
| リハビリ系 | 理学療法士/作業療法士/言語聴覚士/視能訓練士/義肢装具士 |
| 福祉系 | 社会福祉士/介護福祉士/精神保健福祉士 |
| 東洋医療系 | あん摩マッサージ指圧師/はり師/きゅう師/柔道整復師 |
| その他 | 歯科衛生士/栄養士/管理栄養士 |
ここで重要なのは「資格を持っていること」だけでは足りず、その資格に基づく業務に従事した期間が求められる点です。介護福祉士の資格を持っていても、資格とは無関係の職種で働いていた期間はカウントされません。逆に、歯科衛生士やはり師・きゅう師といった一見ケアマネと距離のある資格でも対象に含まれている点は見落とされがちです。
出典:厚生労働省「社会保障審議会 介護保険部会(第127回)資料2 地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001586130.pdf
ルート2:施設等で必置とされる相談援助業務
2つ目は、法定資格を持っていなくても、指定された相談援助業務に従事してきた人が対象になるルートです。厚生労働省の資料では、介護老人福祉施設等の生活相談員、介護老人保健施設の支援相談員、障害者総合支援法に基づく相談支援専門員、生活困窮者自立支援法に基づく主任相談支援員が示されています。
こちらも「相談っぽい仕事をしていた」では認められません。施設等において必置とされている相談援助職として配置されていた実態が求められます。自分の職種がこれに当たるか判断が難しい場合は、勤務先の辞令や雇用契約書上の職名を確認したうえで、受験する都道府県の試験実施機関に事前確認するのが確実です。
出典:厚生労働省「社会保障審議会 介護保険部会(第127回)資料2」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001586130.pdf
2018年に廃止された「介護等業務10年」ルート
かつては、上記のいずれにも当てはまらない介護職員でも、介護等業務に10年(社会福祉主事任用資格者は5年)従事すれば受験できました。しかしこのルートは平成30年度(第21回)試験から廃止され、経過措置も平成29年度試験で終了しています。現在は無資格からの直接受験はできません。
この影響は数字に明確に表れています。第20回(平成29年度)の受験者数131,560人に対し、見直し後の第21回(平成30年度)は49,332人と、受験者が3分の1近くまで減少しました。「昔は受けられたと聞いた」という情報は、現在は通用しないと考えてください。
出典:大阪府「ケアマネ試験の受験要件の変更について」https://www.pref.osaka.lg.jp/o090100/kaigoshien/care/keamanesikenhenkou.html / 厚生労働省「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187425_00013.html
「資格があれば試験が一部免除される」は誤り
「看護師や社会福祉士なら一部の解答が免除される」という情報を目にすることがありますが、これは過去の制度です。法定資格保有者に対する解答免除は平成27年度に廃止されており、現在はどの資格から受験しても全問を解答します。資格は受験資格の判定に関係するだけで、試験本番で有利になる仕組みは存在しません。
出典:厚生労働省「社会保障審議会 介護保険部会(第127回)資料2」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001586130.pdf
「5年以上かつ900日以上」を正しく数える
受験資格でもっとも申込ミスが起きやすいのが実務経験の数え方です。年数と日数の両方を満たす必要があり、しかも起算日にはルールがあります。正しいカウント方法と、つまずきやすい場面を整理します。
起算日は「資格登録日」以降
実務経験は、通算して5年以上、かつ従事日数900日以上が必要です。国家資格等に基づく業務で申請する場合は、資格登録日以降の実務経験でこの5年・900日を満たさなければなりません。
見落とされやすいのが、資格を取得する前に同じ職場で働いていた期間です。介護福祉士として登録される前の無資格期間や、実務者研修中の勤務期間は、ルート1では算入できません。「その職場に何年いたか」ではなく「登録後に何年その資格の業務をしたか」で数える、と覚えておくと間違えにくくなります。
出典:大阪府「第29回大阪府介護支援専門員実務研修受講試験のお知らせ」https://www.pref.osaka.lg.jp/o090100/kaigoshien/care/shiken03.html
900日は「実際に従事した日数」
900日は暦の日数ではなく、実際に業務に従事した日数です。単純計算すると年間180日、月に15日程度の勤務を5年続けたイメージになります。フルタイム勤務であれば5年で自然に900日を超えますが、週3日勤務などの場合は5年経っても900日に届かないことがあります。
逆にいえば、雇用形態がパートや非常勤でも、5年と900日の両方を満たしていれば受験できます。「非常勤だから無理」と諦める前に、勤務日数を実際に数えてみる価値があります。1日の勤務時間の長短は問われないのが一般的です。
数え間違いが起きやすい3つの場面
第一に、複数の職場を経験している場合です。期間は通算できますが、勤務先ごとに証明書が必要になるため、退職済みの職場も含めて洗い出しておく必要があります。
第二に、育児休業や長期の私傷病休職などの期間です。実際に業務へ従事していない期間は日数に算入されないため、想定より900日到達が遅れることがあります。
第三に、同じ資格でも業務内容が要件から外れるケースです。管理業務や事務業務が中心で、資格に基づく直接的な業務に従事していなかった期間は認められない可能性があります。判断に迷う場合は自己判断せず、受験地の試験実施機関へ確認してください。
| 期間・状況 | 実務経験への算入 |
| 資格登録日より前の勤務 | 算入されない |
| 資格登録後の常勤勤務 | 算入される |
| 資格登録後のパート・非常勤勤務 | 算入される(従事日数でカウント) |
| 複数の職場での勤務 | 通算できる(勤務先ごとに証明書が必要) |
| 育児休業・長期休職の期間 | 算入されない |
| 資格に基づかない職種での勤務 | 算入されない |
受験資格を証明する書類と申し込みの流れ
受験資格を満たしていても、書類が揃わなければ申し込めません。必要な証明書、受験できる都道府県の考え方、スケジュールの目安を押さえます。
実務経験証明書は勤務先ごとに用意する
受験申込では、実務経験証明書と資格の登録証等の写しの提出が必須です。実務経験証明書は勤務先の代表者印が必要なため、退職した職場にも依頼しなければならず、ここで時間がかかります。申込期間は1か月程度しかないため、要領の配布前から準備を始めるのが安全です。
なお平成30年度試験からは、それまで証明書の提出が免除されていた人も含め、提出が必須要件となっています。「前に受けたときは不要だった」という前提は通用しません。
出典:大阪府「ケアマネ試験の受験要件の変更について」https://www.pref.osaka.lg.jp/o090100/kaigoshien/care/keamanesikenhenkou.html
受験できるのは「勤務地」または「住所地」の都道府県
ケアマネ試験は都道府県ごとの実施です。申込日時点で対象業務に従事している場合はその勤務地の都道府県、従事していない場合は住所地の都道府県で受験するのが原則で、好きな会場を選ぶことはできません。県境をまたいで通勤している人は、勤務先所在地を基準に確認してください。
申込は6月前後、試験は10月
例年、受験要領の配布と申込受付は5月下旬から6月にかけて行われ、試験は10月の日曜日に全国一斉で実施されます。第29回試験は2026年10月11日(日)実施で、申込受付はすでに終了しています。合否は11月下旬に通知されるのが一般的です。
これから受験資格を満たす人が目指すのは2027年(第30回)試験です。申込は例年どおりであれば2027年5月下旬から6月にかけてで、実務経験証明書の準備を考えると、今から動き始めても早すぎることはありません。受験手数料は都道府県によって異なり、たとえば大阪府では13,400円(別途払込手数料)です。
出典:大阪府「第29回大阪府介護支援専門員実務研修受講試験のお知らせ」https://www.pref.osaka.lg.jp/o090100/kaigoshien/care/shiken03.html
受験資格は「実務経験3年」へ緩和される見通し
いま受験資格を調べている人にとって見逃せないのが、要件そのものが変わろうとしている点です。2026年6月には関連する法改正も成立しました。対象資格の拡大と実務経験年数の短縮が、いつ・どこまで決まっているのかを整理します。
新たに5つの資格の追加が検討されている
厚生労働省は社会保障審議会介護保険部会に対し、多様な背景を持つ人材の参入を促す観点から、受験対象となる国家資格の範囲を広げる案を示しています。具体的に挙げられているのは、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師の5職種です。
在宅で検査や機器操作にあたる機会が増えていること、養成課程で地域包括ケアシステムを学ぶことなどが理由として整理されています。現時点では対象外のため、これらの資格しか持たない人は現行制度では受験できません。
出典:厚生労働省「社会保障審議会 介護保険部会(第127回)資料2」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001586130.pdf
実務経験年数は5年から3年へ
同じ資料では、現行の5年という実務経験年数についても、介護福祉士の実務経験ルートで求められる年数を踏まえて3年に見直す方向性が示されています。実現すれば、20代・30代のうちにケアマネを目指せる道が現実的になります。
あわせて、介護支援専門員証の更新制の廃止などを盛り込んだ「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)が2026年6月25日に公布されました。施行期日は原則として令和9年(2027年)4月1日ですが、ケアマネの更新制廃止と研修の見直しについては公布の日から1年6か月を超えない範囲内で政令で定める日とされており、日付はまだ確定していません。
出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について(介護保険最新情報Vol.1518)」https://www.mhlw.go.jp/content/001715668.pdf
「緩和を待つ」より「今の要件で動く」が現実的
押さえておきたいのは、更新制の廃止は法律に書き込まれた一方で、受験資格の年数や対象資格は厚生労働省令(介護保険法施行規則)で定められているという点です。2026年8月時点で、実務経験を3年に短縮する改正省令や、5資格を追加する改正省令は公布されていません。つまり、次回の第30回試験が現行の5年・900日要件で実施される可能性は十分にあります。
「3年になるまで待とう」と判断すると、施行が想定より後ろ倒しになった場合に何年も足踏みすることになりかねません。すでに5年・900日を満たしている、あるいは来年度中に満たせる見込みがあるなら、現行要件で挑戦するほうが確実です。緩和は「今受けられない人にとっての朗報」であって、「今受けられる人が待つ理由」ではありません。
ケアマネの受験資格についてよくある質問
受験資格をめぐって特に問い合わせが多い疑問をまとめました。判断に迷う論点は、最終的に受験する都道府県の試験実施機関が判断します。
無資格でも受験できますか?
できません。介護等業務10年のルートは平成30年度(第21回)試験から廃止されています。介護職員初任者研修や実務者研修は、受験資格の対象となる法定資格には含まれていません。まずは介護福祉士など対象資格の取得が最短ルートになります。
訪問介護員(ホームヘルパー)の経験はカウントされますか?
訪問介護員としての勤務は、それ自体では実務経験に算入されません。ただし介護福祉士の資格を取得したあとであれば、その資格に基づく業務として従事した期間はカウントできます。起算点はあくまで資格登録日以降です。
パートや非常勤でも受験できますか?
雇用形態は問われません。5年以上かつ900日以上を満たしていれば、パートでも非常勤でも受験できます。ただし勤務日数が少ない働き方では5年経過しても900日に届かないことがあるため、実際の勤務日数を数えて確認してください。
複数の職場の経験を合算できますか?
合算できます。ただし証明には勤務先ごとに実務経験証明書が必要です。退職済みの職場にも依頼することになるため、申込期間に入る前から連絡を取り、発行を進めておくと安心です。
5年は満たしているのに900日に届きません。どうすればよいですか?
年数と日数は両方を満たす必要があるため、900日に達するまで受験はできません。勤務日数を増やすか、到達見込みの時期を逆算して受験年度を決めることになります。育児休業などで従事していない期間は算入されない点にも注意してください。
保有資格によって試験が免除されることはありますか?
ありません。法定資格保有者に対する解答免除は平成27年度に廃止されており、現在はどの資格から受験しても全問に解答します。資格は受験資格の判定に関係するだけで、試験内容が有利になる仕組みはありません。
自分が受験資格を満たしているか分からないときは?
自己判断は避け、受験予定の都道府県の試験実施機関に事前確認してください。特に職名と実際の業務内容が一致していないケースや、管理業務が中心だった期間の扱いは、申込後に不備が判明すると受験自体ができなくなります。
ケアマネの受験資格についてのまとめ
ケアマネの受験資格は、22の法定資格に基づく業務か、指定された相談援助業務に、資格登録日以降で5年以上かつ900日以上従事していることが条件です。無資格からのルートは廃止され、証明書の提出も必須になりました。2026年6月には更新制廃止を含む法改正が公布されましたが、受験資格の3年短縮と対象資格の拡大は省令待ちで、現行要件はまだ有効です。まずは自分の勤務日数を数えるところから始めましょう。

