主任ケアマネの要件は?専任5年の数え方と、管理者の猶予が切れる前に確認したいこと
監修者

名前 / Name
大石 智之
実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。
その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。
さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。
約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。
設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。
現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。
「主任ケアマネになりたいけれど、自分はいつ研修を受けられるのか」。受講要件は「ケアマネとして5年」と一言で語られがちですが、実際には“専任”期間の数え方や、都道府県ごとの追加要件によって受講できる時期が変わります。本記事では、国の実施要綱にもとづく受講要件、研修の内容、2026年に成立した法改正による更新制の見直しまで、主任ケアマネを目指す方がいま確認しておきたいことを整理します。
主任ケアマネ(主任介護支援専門員)とはどんな資格か
まず、主任ケアマネが制度上どう定義され、どの職場で配置が求められているのかを確認します。役割を理解しておくと、受講要件がなぜ「経験年数」と「実践力」の両方を問うのかが見えてきます。
制度上の定義と役割
主任ケアマネ(主任介護支援専門員)は、介護保険法施行規則にもとづき、他の保健医療・福祉サービス提供者との連絡調整や、他のケアマネジャーへの助言・指導などに必要な知識と技術を身につける研修を修了した人を指します。 (出典:内閣府 地方分権改革 提案募集資料「主任介護支援専門員の概要」https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kaigi/doc/teianbukai100shiryou3_2.pdf)
一般のケアマネが「担当利用者のケアマネジメント」を中心に担うのに対し、主任ケアマネは事業所内の後輩支援、支援困難事例への対応、地域の関係機関とのネットワークづくりまで期待されます。
主任ケアマネの配置が求められる職場
主任ケアマネが必要とされる代表的な場面は次の3つです。
- 居宅介護支援事業所の管理者(原則として主任ケアマネであることが要件)
- 地域包括支援センター(主任介護支援専門員その他これに準ずる者を配置)
- 特定事業所加算を算定する居宅介護支援事業所(加算Ⅰは常勤専従の主任ケアマネ2名以上、加算Ⅱ・Ⅲ・Aは1名以上)
(出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6「居宅介護支援・介護予防支援」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf)
国が主任ケアマネの位置付けを明確化しようとしている
2025年12月の社会保障審議会介護保険部会の意見では、主任ケアマネを地域の関係者との連絡調整の中心的な役割を果たす者として位置付けを明確化することが適当とされました。あわせて、管理者としての労務・財務管理と、ケアマネ育成という本来業務との役割分担が課題として挙げられています。 (出典:厚生労働省 同上資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf)
主任ケアマネ研修の受講要件
主任ケアマネになるには、都道府県が実施する主任介護支援専門員研修を修了する必要があります。ここでは国の実施要綱で示されている受講要件と、都道府県ごとに異なる部分を分けて解説します。
前提となる条件
国の「介護支援専門員資質向上事業実施要綱」では、受講対象を介護支援専門員更新研修(または専門研修課程Ⅰ・Ⅱ相当)を修了した人としています。そのうえで、多くの都道府県では「有効な介護支援専門員証を持っていること」「現にケアマネとして従事していること」も受講要件に含めています。
(出典:内閣府 同上資料 https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kaigi/doc/teianbukai100shiryou3_2.pdf/山形県「令和7年度山形県主任介護支援専門員研修実施要綱」)
実務経験の4つのルート
国の実施要綱では、次のいずれかに該当することが求められています。
- 専任のケアマネとして従事した期間が通算5年(60か月)以上(管理者との兼務期間も算定可能)
- ケアマネジメントリーダー養成研修の修了者、または日本ケアマネジメント学会の認定ケアマネジャーで、専任のケアマネとして通算3年(36か月)以上従事
- 主任介護支援専門員に準ずる者として、現に地域包括支援センターに配置されている
- その他、十分な知識と経験を有し、都道府県が適当と認める者
(出典:内閣府 同上資料 https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kaigi/doc/teianbukai100shiryou3_2.pdf)
「専任」の数え方と都道府県ごとの違い
注意したいのは「専任」の意味です。たとえば山形県の実施要綱では、専任を「常勤専従」の介護支援専門員と定義し、申込期限時点で期間を数えるとしています。兼務していた期間や非常勤の期間は、都道府県によって通算に含まれない場合があります。
また国の要綱は、都道府県が独自の要件を上乗せすることを認めています。山形県のように、申込時に担当事例の居宅サービス計画書などを提出し、審査委員会で受講の可否を判断する地域もあります。
(出典:山形県 同上要綱 https://www.pref.yamagata.jp/documents/3050/r7syoukou.pdf)
受講を考え始めたら、勤務先の都道府県の受講要項で「専任の定義」「期間を数える基準日」「事例提出の有無」の3点を早めに確認しておきましょう。
事例審査がある場合は「自立支援」が伝わる事例を選ぶ
事例審査のある都道府県では、「利用者の自立支援に資するケアマネジメントが実践できているか」が見られます。提出する事例は、困難さの大きさよりも、アセスメントで把握した課題とケアプランの目標、サービス内容が一本の線でつながっているかを重視して選ぶのがポイントです。
具体的には、次の点を見直しておくと安心です。
- 本人の「どう暮らしたいか」という意向が、ケアプランの長期目標に反映されているか
- 課題ごとに、なぜそのサービスを位置付けたのかが説明できるか
- モニタリングの結果を受けて、プランを見直した経過が記録に残っているか
日ごろの記録がそのまま審査資料になるため、受講を考え始めた時点から、担当事例の記録を「第三者が読んでもわかる書き方」に整えておくと、申込時に慌てずに済みます。
研修の内容と、修了後の更新ルール
研修は講義と演習で構成され、修了後も一定期間ごとの学び直しが求められてきました。ここでは研修の中身と、2026年の法改正で更新の仕組みがどう変わるのかを整理します。
研修は講義・演習あわせて70時間
主任介護支援専門員研修は、国のガイドラインにもとづき、主任ケアマネの役割と視点、倫理的な課題への支援、ターミナルケア、人材育成と業務管理、リスクマネジメント、地域援助技術、医療との連携と多職種協働、対人援助者監督指導、個別事例を通じた指導・支援の展開といった科目で構成されています。合計は70時間で、なかでも「対人援助者監督指導」(18時間)と「個別事例を通じた指導・支援の展開」(24時間)に多くの時間が割かれています。
(出典:厚生労働省「主任介護支援専門員研修ガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/2016.11SHUNINKENSHUGAIDORAIN.pdf/
厚生労働省「主任介護支援専門員研修各科目のガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/content/001089254.pdf)
スーパービジョンや事例指導の演習が中心のため、「知識を覚える研修」というより「人を育てる力を練習する研修」と捉えておくと準備がしやすくなります。
国は介護支援専門員の法定研修について、オンラインでの実施を推進しています。たとえば千葉県では、2024年度から新カリキュラムで研修を実施し、オンライン(Zoom等)での受講を基本としています。移動の負担は軽くなる一方、演習の日は一日中画面の前で議論に参加するため、勤務先には事前に研修日程を共有し、担当利用者の対応を誰が代わるかを決めておきましょう。
(出典:千葉県介護支援専門員協議会「令和7年度千葉県主任介護支援専門員研修 開催案内」https://www.city.kimitsu.lg.jp/uploaded/attachment/54798.pdf)
現行制度では5年ごとに更新研修が必要
主任ケアマネの資格(研修修了証明書)には有効期間があり、更新研修を修了する必要があります。更新研修の受講要件は、研修の講師やファシリテーター経験、法定外研修への年4回以上の参加、学会での発表経験、認定ケアマネジャーであることなどのいずれかに該当することです。
(出典:内閣府 同上資料 https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kaigi/doc/teianbukai100shiryou3_2.pdf)
2026年の法改正で更新制は廃止へ
2026年6月に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)により、研修受講を要件としたケアマネの更新制は廃止されることになりました。施行日は「公布後1年6月以内に政令で定める日」とされています。
(出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について」https://www.mhlw.go.jp/content/001717214.pdf)
介護保険部会の意見では、主任ケアマネについても同様に更新の仕組みを廃止することが適当とされています。ただし定期的な研修の受講は引き続き求められます。施行前に有効期間が切れる場合は現行ルールが適用されるため、「廃止されるから受けなくていい」と判断せず、都道府県の案内を確認してください。
(出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf)
主任ケアマネを目指すときに確認しておきたいこと
最後に、キャリアの計画を立てるうえで見落とされやすいポイントを3つ取り上げます。特に管理者を目指す方は、経過措置の期限を意識したスケジュールづくりが欠かせません。
管理者要件の猶予は2027年3月末まで
居宅介護支援事業所の管理者は、原則として主任ケアマネでなければなりません。2021年3月31日時点で主任ケアマネでない人が管理者を務めている事業所は、その人が管理者である限り、2027年3月31日まで適用が猶予されています。2021年4月以降に新たに管理者になる人には、この猶予は適用されません。
調査では、居宅介護支援事業所の管理者のうち主任ケアマネである割合は90.3%でした。
例外として、急な退職などの不測の事態で主任ケアマネを管理者にできなくなった事業所は、理由と改善計画を保険者に届け出ることで、要件の適用が1年間猶予されます。また、特別地域居宅介護支援加算や中山間地域等における小規模事業所加算を取得できる事業所では、管理者を主任ケアマネとしない取扱いも可能とされています。
(出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf)
なお、介護保険部会の意見では、管理者要件そのものについても引き続き介護給付費分科会で検討していくことが適当とされています。今後の報酬改定で扱いが変わる可能性もあるため、管理者を目指す方は国の動きにも注目しておきましょう。
取得までにかかる年数の目安
ケアマネ試験の受験に必要な実務経験(5年以上)と、主任研修の受講に必要な専任期間(通算5年以上)を単純に足すと、主任ケアマネになるまでに少なくとも10年以上の経験を積む計算になります。認定ケアマネジャーのルートを使えば、ケアマネとしての専任期間は3年に短縮できます。研修の開催回数や定員は都道府県によって限られるため、受講要件を満たす前年から日程を確認しておくと安心です。
期待される役割と実際の負担を知っておく
居宅介護支援事業所への調査では、主任ケアマネに求める役割として「事業所内の介護支援専門員への助言・支援」(74.6%)、「支援困難事例の対応」(67.6%)が上位でした。一方で、ケアプラン点検やスーパービジョン、地域のネットワークづくりなどは、求められている割合に比べて実際に担えている割合が低い傾向が示されています。
(出典:厚生労働省 同上資料(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査より)https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf)
資格を取った後に「何を任されるのか」を職場とすり合わせておくことが、無理なく役割を果たす近道です。
主任ケアマネの要件についてよくある質問
Q. 主任ケアマネは国家資格ですか?
A. 国家資格ではありません。都道府県が実施する主任介護支援専門員研修を修了することで取得する資格です。ケアマネ(介護支援専門員)も同様に、都道府県知事の登録を受ける公的資格です。
Q. 認定ケアマネジャーでなくても、専任3年で受講できますか?
A. 国の要綱では、専任3年のルートは「ケアマネジメントリーダー養成研修の修了者」または「日本ケアマネジメント学会の認定ケアマネジャー」が対象です。どちらにも該当しない場合は、専任5年のルートなどを満たす必要があります。
Q. 更新制が廃止されたら、更新研修は受けなくてよいですか?
A. 廃止の施行日は政令で定められる予定で、施行前に有効期間を迎える方には現行の更新ルールが適用されます。また廃止後も定期的な研修受講は求められるため、勤務先の都道府県の案内を必ず確認してください。
Q. 管理者を目指さない場合でも、主任ケアマネを取る意味はありますか?
A. 地域包括支援センターや特定事業所加算を算定する事業所では主任ケアマネの配置が求められるため、働く場所の選択肢が広がります。後輩支援や困難事例への対応力を体系的に学べる点も、管理者を目指さない方にとってのメリットです。
Q. 研修の受講費用はどのくらいですか?
A. 受講料は都道府県や実施機関によって異なります。国は地域医療介護総合確保基金を活用して受講者の負担を軽減するメニューを設けているため、勤務先の都道府県の受講要項で確認しましょう。
主任ケアマネの要件についてのまとめ
主任ケアマネの受講要件は、国の要綱では「専任5年(認定ケアマネ等は3年)」が基本ですが、専任の定義や事例審査の有無は都道府県ごとに異なります。2026年の法改正で更新制は廃止される方向ですが、施行前は現行ルールが適用されます。管理者要件の猶予は2027年3月末までです。受講要項を早めに確認し、自分が受けられる年を正確に把握しておきましょう。して、前日は体調を整えることに集中してください。しょう。

