ケアプランの文例集|第1表・第2表の書き方と、ケース別のニーズ・目標の例
監修者

名前 / Name
大石 智之
実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。
その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。
さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。
約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。
設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。
現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。
ケアプランを書くとき、多くのケアマネが悩むのが「どんな言葉で書けばいいのか」という点です。文例をそのまま写すと利用者らしさが消え、自分の言葉で書こうとすると抽象的になってしまう。本記事では、国の記載要領で示されたルールを押さえたうえで、第1表の「意向」「総合的な援助の方針」、第2表の「ニーズ」「目標」「サービス内容」の文例を、よくあるケース別に紹介します。あわせて、よくあるNG例と書き直し方も解説します。
文例を使う前に押さえたい記載のルール
文例は便利ですが、記載のルールを知らずに使うと、要件を満たさないケアプランになってしまうことがあります。まずは国の「居宅サービス計画書記載要領」で示されているポイントを確認しましょう。
第1表の「意向」は課題分析の結果として書く
記載要領では、第1表の「利用者及び家族の生活に対する意向」には、利用者と家族がどのようなサービスをどの程度利用しながら、どのような生活をしたいと考えているのかについて、課題分析の結果を記載するとされています。利用者と家族の意向が異なる場合は、それぞれを区別して記載します。
出典:東京都福祉局「居宅サービス計画書記載要領」 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/kyotaku_4_03
本人の言葉をそのまま書き写すだけでなく、アセスメントを通じて整理した「本人が望む暮らし」として記載することがポイントです。
第2表の目標は「具体的」で「実現可能」に
第2表の長期目標・短期目標は、抽象的な言葉ではなく誰にもわかりやすい具体的な内容で記載し、実際に解決が可能と見込まれるものでなければならないとされています。また、ニーズは原則として優先度の高いものから順に記載します。
出典:同上 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/kyotaku_4_03
サービス内容には家族の援助も書く
サービス内容には、短期目標の達成に必要な最適なサービスの内容と方針を簡潔に記載し、できるだけ家族による援助も明記することとされています。家族が担う介護部分についても、誰が行うのかを明記します。介護保険サービスだけでなく、家族や地域の支えも含めて書くことで、生活全体を支える計画になります。
出典:同上 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/kyotaku_4_03
第1表の文例
第1表は、ケアプラン全体の方向性を示す表です。ここでは「利用者及び家族の生活に対する意向」と「総合的な援助の方針」の文例を紹介します。
「利用者の意向」の文例
本人の言葉を生かしながら、どんな暮らしを望んでいるのかが伝わるように書きます。
- 「住み慣れたこの家で、できるだけ長く暮らしたい。転ばないように気をつけながら、近所のスーパーまで自分で買い物に行けるようになりたい」
- 「妻に迷惑をかけたくない。お風呂は手伝ってもらいながらでも、自分でできるところは自分でやりたい」
- 「デイサービスで友人と話すのが楽しみ。週に何回かは外に出て、人と関わる生活を続けたい」
「家族の意向」の文例
家族の意向は、本人の意向と区別して書きます。介護の負担や不安も、家族の言葉として丁寧に記載します。
- (長女)「仕事を続けながら母を支えたい。日中は一人になる時間が長いので、安全に過ごせるようにしてほしい」
- (夫)「自分も高齢なので、入浴の介助は難しい。できる範囲で手伝いながら、夫婦で自宅での生活を続けたい」
「総合的な援助の方針」の文例
チーム全体がどんな方針で支援するのかを示します。緊急時の対応先も書いておくと、関係者の動きがそろいます。
- 「ご本人の『自宅で暮らし続けたい』という思いを大切に、転倒を防ぎながら、ご自分でできることを続けられるよう支援します。長女様の就労と介護の両立を支えるため、日中の見守り体制を整えます。体調の急変時は、主治医の〇〇クリニック(電話番号)と長女様に連絡します」
第2表の文例(ケース別)
第2表は、ケアプランの中心となる表です。ここでは、よくある5つのケースについて、ニーズ・長期目標・短期目標・サービス内容の文例を紹介します。
ケース1:歩行が不安定で転倒の心配がある
- ニーズ:「転ばずに家の中を歩き、トイレに自分で行けるようになりたい」
- 長期目標:自宅内を手すりや杖を使って一人で移動できる
- 短期目標:週2回の機能訓練を続け、トイレまでの移動を見守りのもとで行える
- サービス内容:通所リハビリでの歩行訓練、福祉用具貸与(歩行器)、住宅改修(廊下・トイレの手すり設置)、長女による夜間の声かけ
ケース2:物忘れがあり、服薬を忘れてしまう
- ニーズ:「薬をきちんと飲んで、今の体調を保ちたい」
- 長期目標:決まった時間に服薬を続け、血圧が安定した状態を保てる
- 短期目標:服薬カレンダーを使い、訪問時の確認で飲み忘れがない日を増やす
- サービス内容:訪問介護での服薬の声かけと確認、薬剤師による居宅療養管理指導(一包化・残薬確認)、長男による週末の電話での声かけ
ケース3:一人での入浴が難しくなってきた
- ニーズ:「お風呂に入って、さっぱりと気持ちよく過ごしたい」
- 長期目標:週2回、安全に入浴できる習慣を続けられる
- 短期目標:デイサービスでの入浴に慣れ、自分で洗える部分は自分で洗える
- サービス内容:通所介護での入浴介助、福祉用具購入(シャワーチェア)、本人は洗顔と上半身を自分で洗う
ケース4:一人暮らしで食事が偏りがち
- ニーズ:「栄養のある食事をとって、体力を落とさずに暮らしたい」
- 長期目標:1日3食をとり、体重を維持できる
- 短期目標:週3回の調理支援と配食サービスで、食事を抜く日をなくす
- サービス内容:訪問介護(生活援助)での調理、民間の配食サービス、地域の通いの場での昼食会への参加
ケース5:介護する家族の負担が大きい
- ニーズ:「妻が倒れないよう、介護の負担を減らしながら自宅での生活を続けたい」
- 長期目標:妻が休息をとりながら、夫婦で自宅での生活を続けられる
- 短期目標:月に数日の短期入所を利用し、妻が自分の通院や休息の時間を持てる
- サービス内容:短期入所生活介護、通所介護、地域包括支援センターの家族介護者教室の紹介
ケース6:外出の機会が減り、閉じこもりがち
- ニーズ:「以前のように近所の人と話したり、外に出かけたりする楽しみを取り戻したい」
- 長期目標:週に2回以上、自宅の外で人と交流する時間を持てる
- 短期目標:通所介護に週1回通い、レクリエーションに参加できる
- サービス内容:通所介護、地域の老人クラブや通いの場の紹介、民生委員による月1回の声かけ
閉じこもりのケースでは、介護保険サービスだけでなく、地域の通いの場や近所の人とのつながりもサービス内容に書き込むことで、生活の広がりが見えるケアプランになります。
なお、ケース4のように生活援助中心型の訪問介護を位置付ける場合は、第1表に算定理由を記載する必要があります。
よくあるNG例と書き直しのコツ
文例を参考にしても、書き方によっては目標やニーズの意図が伝わらなくなります。ここでは、よくあるNG例と書き直しのコツを紹介します。
抽象的な目標は「行動」と「場面」に置き換える
「安全に暮らす」「健康を維持する」「ADLを維持する」といった目標は、誰にでも当てはまり、達成できたかどうかを判断できません。
- NG:「安全に暮らす」
- 書き直し:「夜間にトイレへ行くときに転ばず、朝まで自宅で過ごせる」
「どの場面で」「何ができるようになるか」を書くと、モニタリングで評価しやすくなります。
支援者目線の言葉を本人目線に直す
「入浴させる」「見守りが必要」「家族の負担軽減」など、支援者側から見た言葉だけで書くと、本人が主役の計画になりません。
- NG:「入浴を週2回させる」
- 書き直し:「週2回お風呂に入り、さっぱりした気分で過ごせる」
ニーズや目標は、本人が読んで「自分のことだ」と感じられる言葉で書くことを意識しましょう。
サービス名を目標にしない
「デイサービスに通う」「ヘルパーを利用する」は手段であって、目標ではありません。サービスを使うことで何を実現したいのかを目標に書き、サービス名はサービス内容の欄に書きます。
見直しのときは「できたこと」から書き換える
モニタリングで短期目標を達成できていたら、次の目標は「できたこと」を土台に一段階先へ進めます。たとえば、ケース1で「見守りのもとでトイレまで移動できる」が達成できたら、次の短期目標は「夜間も一人でトイレまで移動できる」に書き換えます。
反対に、目標が達成できなかった場合は、目標の高さが合っていたのか、サービスの量や内容が足りていたのかを振り返ります。目標を下げることは後退ではなく、本人にとって無理のない一歩に設定し直すことです。見直しの理由は第5表の居宅介護支援経過にも残しておきましょう。
文例は「型」として使い、言葉は本人から借りる
文例は、ニーズと目標とサービスのつながり方を学ぶ「型」として使うのが効果的です。具体的な言葉は、アセスメントで本人や家族から聞き取った言葉を借りてきましょう。「孫の運動会を見に行きたい」「畑の世話を続けたい」といった、その人だけの言葉が入ったケアプランは、サービス担当者会議でも関係者の目線をそろえる力を持ちます。
ケアプランの文例についてのよくある質問
Q. 文例をそのまま使ってもいいですか?
A. 文例は書き方の型として参考にし、言葉は利用者ごとのアセスメントの結果に合わせて書き換えましょう。同じ文例を複数の利用者に使い回すと、その人らしさが伝わらないケアプランになってしまいます。
Q. ニーズは本人の言葉で書くべきですか?
A. 本人の思いが伝わる表現で書くのが基本です。ただし、本人が気づいていない課題がアセスメントで見えてきた場合は、専門職として必要と判断した内容も、本人と話し合ったうえで記載します。
Q. 長期目標と短期目標の期間はどう決めればいいですか?
A. 記載要領では、期間の設定にあたって要介護認定の有効期間も考慮することとされています。長期目標は課題をいつまでに解決するかの期間、短期目標はその段階として設定した目標の達成期限を記載します。
Q. 家族の介護もケアプランに書く必要がありますか?
A. 記載要領では、サービス内容にできるだけ家族による援助も明記し、家族が担う部分については誰が行うのかを記載することとされています。
Q. 福祉用具を位置付けるときに注意することはありますか?
A. 福祉用具貸与や特定福祉用具販売を位置付ける場合は、なぜそのサービスが必要なのかが、ニーズやサービス内容から明らかになるように記載する必要があります。
ケアプランの文例についてのまとめ
ケアプランの文例は、ニーズ・目標・サービスのつながり方を学ぶ型として使うのが効果的です。第1表の意向は本人と家族を区別して課題分析の結果として書き、第2表の目標は具体的で実現可能な内容にします。サービス内容には家族の援助も明記しましょう。抽象的な目標や支援者目線の言葉を避け、本人から聞き取った言葉を生かすことで、その人らしいケアプランになります。

