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ケアプランデータ連携システムとは?FAXの手間はどこまで減るのか、介護WEBサービスへの移行で何が変わるのか

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監修者

名前 / Name  
大石 智之

実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。

その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。

さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。

約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。

設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。

現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。

毎月のサービス利用票の送付、実績のFAX回収、届いた数字の転記。ケアマネの残業の多くは、こうした「紙のやり取り」から生まれています。ケアプランデータ連携システムは、このやり取りをオンライン化する国の仕組みです。導入率は5割を超え、2027年1月には介護WEBサービスへの移行も予定されています。本記事では、仕組みと効果、費用、報酬上の扱い、移行に向けて今やっておくことを、厚生労働省の資料をもとにケアマネ目線で整理します。


ケアプランデータ連携システムとは

まずはシステムの概要と、誰が運用しているのか、今後どう位置付けられていくのかを確認します。全体像を押さえておくと、導入の判断がしやすくなります。

国保中央会が運用する国の仕組み

ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所の間で交わされるケアプラン(計画・予定・実績の情報)をデータでやり取りするため、令和5年度から公益社団法人国民健康保険中央会に構築されたシステムです。これまで毎月紙で行われていたやり取りが、オンラインで共有できるようになります。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

なぜ国が普及を進めているのか

背景にあるのは、ケアマネの担い手不足です。ケアマネの従事者数は横ばい傾向が続く一方、高齢者が抱える課題は複雑になり、ケアマネに求められる役割は増えています。国の介護保険部会は、ケアプラン作成などの業務についてケアプランデータ連携システムなどのICT活用で効率化を一層進め、給付管理をはじめとする事務的な業務は適切な業務分担の環境整備を進めることが必要だとしています。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

つまりこのシステムは、ケアマネが利用者と向き合う時間を取り戻すための基盤として位置付けられています。

どんなデータがやり取りされるのか

主にやり取りされるのは、居宅介護支援事業所から送るケアプランの第1・2・3表やサービス利用票(予定)と、サービス事業所から返ってくる提供実績です。厚生労働省の「ケアプラン標準仕様」に沿ったデータ形式でやり取りするため、各事業所の介護ソフトが標準仕様に対応していることが前提になります。

2027年1月に「介護WEBサービス」へ移行する予定

ケアプランデータ連携システムは、介護情報基盤に統合され、介護保険資格確認等WEBサービス(介護WEBサービス)の「ケアプランデータ連携機能」へ移行することが決まっています。移行時期は2027年(令和9年)1月の予定で、移行後はパソコンにクライアントソフトを入れるのではなく、WEBシステムで利用する形に変わります。現行のケアプランデータ連携システムは、移行から一定期間が経過した後に稼働を終了する予定です。

2026年7月から12月までが移行の準備期間とされており、市町村の介護情報基盤への対応状況にかかわらず、各事業所での準備が必要です。

出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1529 https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000352/352859/Vol1529.pdf 出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1544 https://www.mhlw.go.jp/content/001751848.pdf


導入すると何が変わるのか

ケアプランデータ連携システムの効果は、国の調査研究で試算されています。ここでは数字で見た効果と、ケアマネの日常業務で変わる点、効果を左右する条件を整理します。

作業時間は約3分の1、経費は約2分の1に

紙でケアプランをやり取りしていた場合と比べ、印刷・郵送・移動などにかかる作業時間は事業所全体で月52.4時間から18.1時間へ(約3分の1)、人件費・印刷費・郵送費・交通費などの経費は月13.4万円から6.7万円へ(約2分の1)削減できると試算されています。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6(令和2年度老人保健健康増進等事業の試算) https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

ケアマネの仕事で具体的に変わること

ケアマネにとっての変化は、主に次の3つです。

  • 月末月初のサービス利用票の印刷・FAX・郵送が不要になる
  • サービス事業所から届く実績を、介護ソフトに手で転記する作業がなくなる
  • 実績の「届いていない」「数字が違う」といった確認の電話が減る

給付管理の締め切り前に、FAXの山と格闘する時間が減ることは、残業の削減に直結します。

サービス事業所側にとっても、届いた予定を手入力する手間や、実績を印刷して届ける手間が減ります。双方の転記がなくなることで、数字の食い違いによる差し戻しや、請求の修正も起こりにくくなります。ケアマネが連携先に導入を呼びかけるときは、「相手の事務も楽になる」という点を伝えると話が進みやすくなります。

効果が出るかどうかは「連携先」しだい

注意したいのは、自分の事業所だけが導入しても、連携先のサービス事業所が使っていなければ紙のやり取りが残る点です。全サービスの導入率は2025年12月時点の10.2%から、2026年5月末時点で45.1%へと急速に上昇しました。市町村別では、甲府市(72.0%)や横浜市(57.6%)など、自治体が普及に力を入れている地域ほど導入が進んでいます。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

その後、2026年7月初旬時点では、有効なライセンスを持つ事業所の割合が50%を超えたと公表されています。

出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1529 https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000352/352859/Vol1529.pdf

導入を決めたら、よく連携するサービス事業所に利用状況を確認し、一緒に切り替えの時期を合わせるのが効果を高めるコツです。


費用と報酬上の扱い

導入を検討するうえで気になるのが、費用と介護報酬との関係です。ライセンス料の仕組みと、居宅介護支援費・処遇改善加算との関係を整理します。

利用料は移行後も無料に

ケアプランデータ連携システムの利用料は、本来は年額21,000円です。ただし、フリーパスキャンペーンとその延長により、2026年度中は無料で利用できます。

さらに、介護WEBサービスへの移行後は、ケアプランデータの送受信が介護WEBサービスの一機能となるため、利用料の負担は発生しないとされています。

出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1529 https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000352/352859/Vol1529.pdf 出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1544 https://www.mhlw.go.jp/content/001751848.pdf

ただし、標準仕様に対応した介護ソフトの利用料は別途かかる点は押さえておきましょう。また、介護情報基盤の導入にかかるカードリーダーの購入費や接続サポートの費用には助成金があり、2026年度の申請は2027年3月12日(予定)まで、介護情報基盤ポータルで受け付けています。

出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1529 https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000352/352859/Vol1529.pdf

居宅介護支援費(Ⅱ)と人員基準の緩和

2024年度の介護報酬改定で、ケアプランデータ連携システムを活用し、かつ事務職員を配置している居宅介護支援事業所は「居宅介護支援費(Ⅱ)」を算定できるようになりました。この場合、ケアマネ1人あたりの取扱件数が50件未満まで基本報酬が減らない(通常は45件未満)ほか、人員基準もケアマネ1人あたり利用者49人(通常は44人)に緩和されます。

出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

処遇改善加算の上乗せ要件にもなった

2026年度の介護報酬改定では、訪問系・通所系サービスなどが介護職員等処遇改善加算の上乗せ区分を算定する要件の一つとして、ケアプランデータ連携システムへの加入が位置付けられました。2026年度改定では加入だけでなく、データ連携の実績も求められます。

出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1460 https://www.mhlw.go.jp/content/001631369.pdf 出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf

ケアマネ事業所にとっては、連携先のサービス事業所が導入する動機が強まったことを意味し、地域全体でデータ連携が進みやすい状況になっています。

なお、介護WEBサービスへの移行に伴う各種加算の取扱いについては、厚生労働省から追って案内される予定です。

出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1529 https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000352/352859/Vol1529.pdf


移行に向けた準備と、つまずきやすいポイント

最後に、2027年1月の移行に向けて今やっておくことと、事業所内で決めておきたいこと、よくあるつまずきを紹介します。職場でICT導入を決める立場にない方も、提案の材料として役立ててください。

事業所の状況別に、今やっておくこと

移行後もケアプランデータ連携を続ける、または新たに始める事業所は、介護WEBサービスへの利用登録が必要です。状況別の対応は次のとおりです。

  • 介護WEBサービスの利用登録が済んでいる場合:改めての登録は不要
  • ケアプランデータ連携システムは導入済みだが、介護WEBサービスは未登録の場合:移行前に介護WEBサービスへの利用登録を行う
  • どちらも未導入の場合:ケアプランデータ連携システムの導入と、介護WEBサービスの利用登録の両方を行う

介護WEBサービスへの登録は、電子請求受付システムのユーザIDとパスワードを使って行い、所要時間は数分とされています。統合の直前はヘルプデスクの混雑が予想されるため、早めに済ませておきましょう。不明点は、ケアプランデータ連携システムのヘルプデスク(0120-584-708)に問い合わせできます。

出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1529 https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000352/352859/Vol1529.pdf

これから新たに導入する場合も、使っている介護ソフトがケアプラン標準仕様に対応しているかは事前に確認が必要です。

事業所内で決めておきたい運用ルール

システムを入れただけでは業務は変わりません。導入前に、次のようなルールを事業所内で決めておくとスムーズです。

  • 予定データの送信日と、実績データの受け取り期限
  • 連携先が未導入の場合の、紙との併用ルール
  • データを送受信する担当者(ケアマネか事務職員か)

個人情報の扱いとセキュリティ

ケアプランには、病名や家族の状況など機微な個人情報が含まれます。FAXの誤送信や郵送中の紛失は、紙のやり取りで起こりやすい事故でした。ケアプランデータ連携システムでは、登録した事業所同士がシステム上でデータを送受信するため、宛先間違いのリスクを減らせます。

ただし、パソコンの管理が甘ければ情報漏えいの危険は残ります。システムを使える端末や職員の範囲、パスワードをどう管理するのか、退職者が出たときにどう対応するのかを、導入時に決めておきましょう。利用者への説明として、契約書や重要事項説明書で、事業所間でデータを電子的に共有することへの同意を得ているかも確認しておくと安心です。

導入を提案するときのコツと、よくあるつまずき

導入を決める立場にない方は、上司に提案する際に「月に何時間、FAXと転記に使っているか」を自分の業務で1か月記録してみると説得力が増します。国の試算と並べて示せば、導入の効果を具体的にイメージしてもらいやすくなります。

つまずきやすいのは「使っている介護ソフトが未対応だった」「連携先が使っていなかった」「加入しただけで実際には使っていなかった」の3つです。特に処遇改善加算の上乗せ要件では利用実績が求められるため、加入後に一度も送受信していない状態は避けましょう。導入直後は、連携件数の多い事業所から順番に切り替えると、効果を実感しやすくなります。


ケアプランデータ連携システムについてのよくある質問

Q. ケアプランデータ連携システムの導入は義務ですか?

A. 全ての事業所に導入を一律に義務づけるものではありません。ただし、居宅介護支援費(Ⅱ)の算定や、処遇改善加算の上乗せ区分の要件になっているほか、2027年1月には介護WEBサービスへの移行も予定されているため、導入する事業所が急速に増えています。

Q. 本当に無料で使えますか?

A. 2026年度中はフリーパスキャンペーンにより無料です。2027年1月に予定されている介護WEBサービスへの移行後も、利用料の負担は発生しないとされています。ただし、介護ソフトの利用料は別途かかります。

Q. 介護ソフトを使っていない事業所でも利用できますか?

A. ケアプラン標準仕様に沿ったデータを作成・読み込みする必要があるため、基本的には標準仕様に対応した介護ソフトが必要です。導入前に、ソフトの提供元へ対応状況を確認しましょう。

Q. 連携先のサービス事業所が使っていない場合はどうなりますか?

A. その事業所とは、これまでどおり紙やFAXでのやり取りが続きます。効果を高めるには、連携件数の多い事業所に声をかけ、切り替えの時期を合わせることが大切です。

Q. 介護WEBサービスへ移行したら、今のシステムは使えなくなりますか?

A. 現行のケアプランデータ連携システムは、2027年1月予定の移行から一定期間が経過した後に稼働を終了する予定です。移行後も使い続けるには介護WEBサービスへの利用登録が必要なので、移行準備期間(2026年7月〜12月)のうちに登録を済ませておきましょう。具体的な移行日は、今後国から案内される予定です。


ケアプランデータ連携システムについてのまとめ

ケアプランデータ連携システムは、ケアプランの予定と実績を事業所間でオンライン共有する国の仕組みです。作業時間を約3分の1、経費を約2分の1に減らせると試算され、導入率は5割を超えました。2027年1月に介護WEBサービスへ移行する予定で、移行後も利用料はかかりません。年内に介護WEBサービスへの登録を済ませ、地域の連携先と足並みをそろえて活用を進めましょう。


執筆者
ケアマネクスト編集部
ケアマネクスト編集部
ケアマネとして働く方のキャリアの「次」と、事業所のこれからの「次」。
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