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介護福祉士とケアマネ、何が違う?給料差3.7万円の理由と転身の判断軸

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監修者

名前 / Name  
大石 智之

実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。

その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。

さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。

約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。

設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。

現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。

介護福祉士とケアマネジャーは、同じ介護の現場にいながら役割がまったく異なります。介護福祉士は利用者に直接ケアを提供し、ケアマネはサービス全体を設計・調整する立場です。資格の位置づけも、国家資格と都道府県登録という違いがあります。この記事では、仕事内容・なり方・給与の3点を公的データで比較し、キャリアの選び方まで整理します。w


資格の性質そのものが違う

まず前提として、2つの資格は法律上の位置づけが異なります。ここを押さえると、業務範囲や取得ルートの違いも理解しやすくなります。

介護福祉士は国家資格、ケアマネは都道府県への登録制

介護福祉士は「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づく国家資格です。国家試験に合格し、登録を経て資格を取得します。

一方でケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護保険法に基づく資格です。都道府県が実施する介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修を修了したうえで、都道府県への登録と介護支援専門員証の交付を受けて業務に就きます。国家試験ではなく、都道府県が実施する試験である点が大きな違いです。

ケアマネは介護福祉士の「上位資格」ではない

よくある誤解が、ケアマネは介護福祉士の上位資格だという理解です。実際には、介護福祉士以外の資格からもケアマネになれます。

介護保険法施行規則第113条の2では、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、管理栄養士、精神保健福祉士の22資格が受験資格の対象として定められています。介護福祉士は22ある入口のひとつであり、上下関係にある資格ではありません。

出典:厚生労働省「社会保障審議会 介護保険部会(第127回)資料2 地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001586130.pdf

資格の更新の扱いも異なる

介護福祉士には資格の有効期間がありません。一方、ケアマネの介護支援専門員証にはこれまで5年の有効期間があり、更新研修の受講が必要でした。

ただしこの点は変わります。2026年6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)により、介護支援専門員証の有効期間と、その交付・更新のために受講することとされていた研修が廃止されます。施行は公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲内で政令が定める日とされており、それまでは現行の更新制が有効です。

出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について(介護保険最新情報Vol.1518)」https://www.mhlw.go.jp/content/001715668.pdf


仕事内容は「直接支援」と「設計・調整」で分かれる

同じ利用者に関わっていても、担う役割は明確に異なります。両者が現場でどう分担しているのかを整理します。

介護福祉士は利用者に直接ケアを提供する

介護福祉士の中核業務は、食事・入浴・排せつをはじめとする日常生活の支援と、利用者や家族への介護に関する指導です。利用者の心身の状態を最も近くで観察できる立場にあります。

勤務先は特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、訪問介護事業所、通所介護事業所など幅広く、シフト勤務や夜勤を伴う職場が中心になります。

ケアマネはサービス全体を設計・調整する

ケアマネジャーの中核業務は、利用者の状況を把握したうえでケアプラン(居宅サービス計画等)を作成し、サービス事業者との連絡調整を行うことです。利用者に直接介護を提供するのではなく、必要なサービスを組み合わせて生活を成り立たせる設計者の役割を担います。

2026年の法改正では、一定の要件に該当する有料老人ホームに係る登録制度が創設され、その入居者を対象とする「登録施設介護支援」という新たな類型も設けられました。ケアマネジメントを担う場面は制度上むしろ広がっています。

出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について(介護保険最新情報Vol.1518)」https://www.mhlw.go.jp/content/001715668.pdf

向き合う相手の範囲が違う

介護福祉士が主に利用者本人と向き合うのに対し、ケアマネは利用者・家族に加えて、サービス事業者、医師、行政の担当者など多方面と調整します。関係者が増える分、書類作成や連絡調整の比重が高まります。

「利用者と直接関わる時間を大切にしたい」のか、「生活全体の設計に関わりたい」のか。この志向の違いが、どちらを選ぶかの実質的な判断軸になります。


なり方のハードルには明確な差がある

取得の難しさは、受験資格と合格率の両面で比較する必要があります。それぞれの入口を確認します。

ケアマネは受験資格の段階で絞られる

ケアマネ試験を受けるには、22の法定資格に基づく業務、または指定された相談援助業務に、通算5年以上かつ900日以上従事していることが必要です。かつて存在した介護等業務10年のルートは平成30年度試験から廃止されました。

つまり、介護福祉士としてまず現場経験を積み、そのうえで5年という期間を満たしてはじめて受験できます。介護福祉士からケアマネを目指す場合、資格取得は段階的なプロセスになります。

出典:厚生労働省「社会保障審議会 介護保険部会(第127回)資料2」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001586130.pdf

合格基準の設計が異なる

第38回介護福祉士国家試験の合格基準は、総得点125点に対し64点以上(総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正)で、加えて11の試験科目群すべてで得点があることとされました。

これに対しケアマネ試験は、介護支援分野と保健医療福祉サービス分野それぞれについて正答率70%を基準とし、問題の難易度で補正した基準に、両方の分野で到達する必要があります。片方の分野を得意分野で補えない設計であり、求められる完成度が構造的に高い試験です。

出典:厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験の合格基準及び正答について」https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/001669883.pdf / 東京都福祉局「令和7年度(第28回)東京都介護支援専門員実務研修受講試験に係る正答番号及び合格基準の公表について」https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kourei/shikaku/r7_seitoukijyun

合格後も研修がある

ケアマネは試験に合格しただけでは働けません。都道府県が実施する介護支援専門員実務研修(87時間以上)を修了し、資格登録を経て介護支援専門員証の交付を受ける必要があります。

なお第28回試験の合格率は25.6%で、受験者50,601人に対し合格者は12,961人でした。職種別に見ると合格者の64.1%が介護福祉士であり、介護福祉士からのキャリアアップがこの試験の主流であることが分かります。

出典:厚生労働省「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187425_00013.html


給与と働き方の違いを数字で比較する

キャリアを考えるうえで避けて通れないのが処遇の差です。公的調査の実額をもとに比較します。

平均給与額には約2.5万円の差がある

厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査によれば、処遇改善加算を取得している事業所における月給・常勤の平均給与額は、介護支援専門員が375,410円、介護職員が338,200円でした。

さらに介護職員の保有資格別で見ると、介護福祉士が350,050円であるのに対し、介護支援専門員の資格を持つ人は388,080円となっています。同じ調査内で比較しても、ケアマネ資格が処遇に反映されていることが確認できます。

職種・資格平均給与額(月給・常勤)
介護支援専門員(職種別)375,410円
介護職員(職種別)338,200円
介護福祉士(保有資格別)350,050円
介護支援専門員(保有資格別)388,080円

出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/dl/r06gaiyou.pdf

身体的負担と精神的負担の質が変わる

介護福祉士は移乗介助や入浴介助など身体的な負荷が大きく、夜勤を伴う勤務も一般的です。年齢を重ねるにつれて体力面の不安が生じやすい職種でもあります。

一方でケアマネは身体的な負担は軽くなるものの、利用者・家族・事業者・医師のあいだで板挟みになる場面が増え、精神的な負担や書類業務の比重が高まります。負担がなくなるのではなく、性質が変わると理解しておくと、転身後のギャップが小さくなります。

どちらを選ぶかの判断軸

体力面の不安から将来を見据えて資格を取るのか、生活全体の設計に関わりたいという志向で選ぶのか。動機によって、転身後の満足度は大きく変わります。

なお、ケアマネの資格を取っても介護福祉士の資格が消えるわけではありません。両方を持つことで、施設のケアマネや生活相談員など選択肢は広がります。二者択一ではなく、積み上げとして捉えるのが現実的です。


介護福祉士とケアマネの違いについてよくある質問

比較して迷いやすい点をまとめました。

ケアマネは介護福祉士の上位資格ですか?

上位資格ではありません。介護福祉士は、ケアマネ試験の受験資格として定められた22の法定資格のうちのひとつです。看護師や社会福祉士など他の資格からもケアマネを目指せます。

介護福祉士がなくてもケアマネになれますか?

なれます。22の法定資格のいずれか、または指定された相談援助業務に、通算5年以上かつ900日以上従事していれば受験できます。ただし第28回の合格者の64.1%は介護福祉士であり、実際には主流のルートです。

給料はどちらが高いですか?

厚生労働省の令和6年度調査では、月給・常勤の平均給与額は介護支援専門員が375,410円、介護職員が338,200円でした。保有資格別では介護福祉士350,050円に対し、介護支援専門員は388,080円です。

試験はどちらが難しいですか?

合格基準の設計が異なります。第38回介護福祉士国家試験は総得点の60%程度を基準に補正した64点以上と、11科目群すべてで得点があることが条件でした。ケアマネ試験は2つの分野それぞれで正答率70%を基準とした水準に到達する必要があり、求められる完成度は構造的に高くなっています。

ケアマネになると介護の仕事はできなくなりますか?

介護福祉士の資格が失われるわけではありません。施設ケアマネや生活相談員など、両方の経験を活かせるポジションもあります。

ケアマネは資格更新が大変だと聞きました。

これまでは介護支援専門員証に5年の有効期間があり、更新研修が必要でした。2026年6月公布の法律で有効期間と更新研修は廃止されます。ただし施行は公布から1年6か月以内の政令で定める日で、それまでは現行制度が有効です。


介護福祉士とケアマネの違いについてのまとめ

介護福祉士は国家資格で利用者に直接ケアを提供する職種、ケアマネは介護保険法に基づく都道府県登録の資格で、ケアプランを作成しサービス全体を調整する職種です。ケアマネは受験資格として実務経験5年以上が必要で、合格率も25.6%と入口が絞られています。平均給与には約3.7万円の差があり、負担の性質も変わります。まずは自分の受験資格の充足状況を確認してみてください。分の勤務日数を数えるところから始めましょう。


執筆者
ケアマネクスト編集部
ケアマネクスト編集部
ケアマネとして働く方のキャリアの「次」と、事業所のこれからの「次」。
その両方の後押しになるよう、試験や制度、働き方、事業承継の情報をお届けしています。
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