ケアマネになるには何年かかる?職種別のルートと、受験から登録までの手順
監修者

名前 / Name
大石 智之
実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。
その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。
さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。
約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。
設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。
現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。
ケアマネ(介護支援専門員)になるには、試験に合格するだけでは足りません。受験資格となる実務経験を積み、試験に合格し、実務研修を修了し、都道府県に登録して、ようやくケアマネとして働けます。どのルートを通るかで、かかる年数も準備すべきことも変わります。本記事では、受験資格の詳しい条件、介護職・看護職・相談職などの職種別ルート、受験から登録までの手順を、公的な資料をもとに整理します。
ケアマネになるまでの4つのステップ
ケアマネになるまでの道のりは、大きく4つのステップに分かれます。まずは全体像をつかみ、自分がいまどの段階にいるのかを確認しましょう。
ステップ1:受験資格となる実務経験を積む
最初のステップは、受験資格となる実務経験を積むことです。法定資格にもとづく業務、または特定の施設での相談援助業務に、通算5年以上かつ900日以上従事している必要があります。 (出典:兵庫県「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の合格者等の状況」https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf27/h29sikenkekka.html)
ステップ2:介護支援専門員実務研修受講試験に合格する
受験資格を満たしたら、年1回全国一斉に行われる介護支援専門員実務研修受講試験を受けます。試験の仕組みや国家試験との違いは別の記事で、合格率の推移は合格率の記事で詳しく解説しています。
▶ あわせて読みたい:「ケアマネは国家資格?資格の位置付けと、更新制の廃止で変わること」
▶ あわせて読みたい:「介護支援専門員試験の合格率は?28回分の推移と、数字から読み解く合格のポイント」
ステップ3:実務研修を修了する
試験に合格すると、都道府県が実施する介護支援専門員実務研修を受講します。研修時間は87時間で、講義と演習に加え、居宅介護支援事業所などでの実習も含まれます。 (出典:島根県「介護支援専門員研修の概要」https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/fukushi/kourei/kaigozinnzaikakuho/caremana/index.data/01gaiyou.pdf)
ステップ4:登録し、介護支援専門員証の交付を受ける
実務研修を修了したら、都道府県に介護支援専門員の登録を申請します。島根県の研修体系図では、登録申請は研修修了後3か月以内とされています。登録後に介護支援専門員証の交付を受けると、ケアマネとして業務に就けるようになります。 (出典:島根県「介護支援専門員研修体系」https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/fukushi/kourei/kaigozinnzaikakuho/caremana/index.data/03taikeizu1.pdf)
受験資格の条件を詳しく確認する
ケアマネになるうえで最初の関門が受験資格です。「5年以上・900日以上」という条件の中身と、対象となる資格や業務を正しく理解しておきましょう。
対象となる法定資格
受験資格の対象となる法定資格は、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む)、精神保健福祉士です。これらの資格にもとづいて、その資格の業務に従事した期間が対象になります。 (出典:兵庫県 同上 https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf27/h29sikenkekka.html)
資格を持っていても、その資格の業務に従事していない期間は通算できない点に注意しましょう。たとえば介護福祉士の資格を持つ人が事務職として働いていた期間は、原則として対象になりません。
相談援助業務でも受験できる
法定資格がなくても、生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員として、所定の施設や事業所で相談援助業務に従事した期間も受験資格の対象になります。第28回試験では、相談援助業務等従事者として合格した人が242人いました。 (出典:厚生労働省「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187425_00013.html)
実務経験を証明してもらえない場合
閉鎖した事業所で働いていた期間や、勤務先と連絡が取れない期間は、実務経験の証明書をもらえないことがあります。その場合の扱いは都道府県によって異なり、証明できない期間は通算できないこともあります。過去の職場で働いた期間を受験資格に含めたい場合は、まず受験する都道府県の試験実施機関に、証明が取れない場合の扱いを問い合わせましょう。給与明細や雇用契約書など、勤務していたことがわかる書類を手元に残しておくと相談がしやすくなります。
「5年以上・900日以上」の数え方
期間の条件は、通算して5年以上であることと、実際に業務に従事した日数が900日以上であることの両方を満たす必要があります。複数の職場での経験は通算でき、パートや非常勤でも従事日数として数えられます。
ただし、資格を取得する前の期間や、対象外の業務に従事していた期間は含まれません。複数の資格や職場を経てきた人ほど計算が複雑になるため、受験する都道府県の受験の手引きで、期間の数え方と基準日を必ず確認してください。
職種別に見るケアマネへのルート
ケアマネを目指す人の職種はさまざまです。ここでは、合格者の職種の内訳と、代表的なルートごとの特徴を紹介します。
合格者の6割以上は介護福祉士
第28回試験の合格者を職種別に見ると、介護福祉士が8,310人で64.1%、看護師・准看護師が2,094人で16.2%、社会福祉士が857人で6.6%、理学療法士が618人で4.8%でした。 (出典:厚生労働省 同上 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187425_00013.html)
介護職から目指すルート
介護職からケアマネを目指す場合は、まず介護福祉士の資格を取り、その後、介護福祉士として5年以上・900日以上の実務経験を積むのが代表的なルートです。介護福祉士を取得する前の介護職としての経験は、ケアマネの受験資格の期間には含まれないため、介護の仕事を始めてからケアマネになるまでには、介護福祉士の取得にかかる年数と5年を足した期間が必要になります。
介護職から目指す人は、利用者の生活を間近で見てきた経験がケアプラン作成の強みになる一方、試験では医療分野の知識でつまずきやすい傾向があります。
看護職・リハビリ職・他職種から目指すルート
看護師やリハビリ職、はり師・きゅう師、柔道整復師などは、資格を取って業務に就いた時点から実務経験を数えられます。医療の知識を生かせる一方、介護保険制度や福祉サービスについては新たに学ぶ必要があります。
鍼灸院や接骨院など、介護保険の外で働いてきた人も、資格にもとづく業務の経験があれば受験資格の対象になります。他職種から転身する場合は、実務研修の実習や入職後の同行訪問で、介護保険の実務を一から身につけていくことになります。
相談職から目指すルート
特別養護老人ホームの生活相談員や、介護老人保健施設の支援相談員、障害福祉の相談支援専門員などとして働く人も、相談援助業務の経験でケアマネを目指せます。利用者や家族の相談を受け、関係機関と調整してきた経験は、ケアマネの仕事と重なる部分が多く、実務に入ってから力を発揮しやすいルートです。
ただし、相談援助業務として認められる職種や施設の範囲は決まっています。肩書きが「相談員」でも対象にならない場合があるため、受験の手引きで自分の職種と勤務先が対象に含まれるかを確認しましょう。
受験から登録までの手順とスケジュール
受験資格を満たしたら、具体的な手続きに進みます。申込みから登録まで1年近くかかることもあるため、スケジュールを逆算して準備しましょう。
実務経験証明書は早めに依頼する
申込みには、実務経験を証明する書類が必要です。現在の勤務先だけでなく、過去に勤めた職場の分も、それぞれの事業所に証明書を発行してもらいます。閉鎖した事業所や連絡が取りにくい職場がある場合は時間がかかるため、受験を決めたらすぐに依頼しておきましょう。
勉強は申込みの半年前から始めるのが目安
ケアマネ試験は出題範囲が広いため、働きながら合格を目指すなら、申込みの半年ほど前、つまり年明けごろから勉強を始めておくと余裕が持てます。最初の数か月で介護保険制度の基本を固め、申込み後は過去問で得点を安定させる、という流れで計画を立てると、仕事が忙しい時期があっても調整しやすくなります。
申込みは初夏、試験は10月
たとえば兵庫県の2026年度試験では、受付期間が5月25日から6月26日まで、試験日は10月11日でした。申込期間は都道府県によって異なるため、勤務先または住所地の都道府県の案内を確認してください。 (出典:兵庫県「介護支援専門員実務研修受講試験」https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf05/keamanesiken.html)
合格後、働き始めるまで半年以上かかることも
合格発表は例年11月下旬ごろで、実務研修は年明けから始まるのが一般的です。たとえば兵庫県では、2025年度の試験合格者向けの実務研修を2026年1月から7月にかけて実施する予定としていました。研修修了後に登録と介護支援専門員証の交付申請を行うため、合格から実際にケアマネとして働き始めるまで、半年以上かかることを見込んでおきましょう。 (出典:兵庫県「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の合格者等の状況」https://web.pref.hyogo.lg.jp/kf27/h29sikenkekka.html)
研修中に、働く場所の見当をつけておく
実務研修では、居宅介護支援事業所などでの実習があります。実習先の事業所の雰囲気や、ケアマネの1日の動き方を間近で見られる貴重な機会です。研修を終えたらどこで働きたいのか、今の職場にケアマネとして働ける枠があるのかを、研修中から考えておくと、登録後にスムーズに働き始められます。事業所の体制や選び方は、別の記事で解説しています。
▶ あわせて読みたい:「居宅介護支援事業所とは?どんな法人が運営し、ケアマネはどんな体制で働くのか」
なお、受験に必要な実務経験年数の短縮や対象資格の拡大が国の審議会で議論されています。最新の受験要件は、受験する年の手引きで必ず確認してください。
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ケアマネになるにはについてのよくある質問
Q. 無資格・未経験からケアマネになれますか?
A. 無資格・未経験からすぐにケアマネになることはできません。まず介護福祉士などの法定資格を取得して実務経験を積むか、生活相談員などの相談援助業務の経験を積む必要があります。
Q. 介護職員初任者研修や実務者研修の修了だけで受験できますか?
A. 研修の修了だけでは受験資格になりません。介護職から目指す場合は、介護福祉士の資格を取得し、その資格にもとづく業務に5年以上・900日以上従事する必要があります。
Q. 実務経験は試験日の時点で満たしていればいいですか?
A. 実務経験を数える基準日は、受験の手引きで定められています。申込時点では見込みで申し込める場合もありますが、扱いは都道府県によって異なるため、必ず手引きで確認しましょう。
Q. 働きながらでもケアマネになれますか?
A. 多くの人が働きながら受験しています。実務研修は数か月にわたって講義・演習・実習が行われるため、勤務先に日程を早めに伝え、休みの調整をしておくことが大切です。
Q. 実務研修の費用はどのくらいかかりますか?
A. 受講料は都道府県によって異なります。たとえば山口県の2023年度の実務研修では、受講料が53,900円、テキスト代が8,800円でした。 (出典:山口県「介護支援専門員実務研修 実施要項」https://www.kaigo.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/file/2312/003124_f1.pdf)
ケアマネになるにはについてのまとめ
ケアマネになるには、法定資格などにもとづく5年以上・900日以上の実務経験を積み、試験に合格し、87時間の実務研修を修了して都道府県に登録する必要があります。合格者の6割以上は介護福祉士ですが、看護職やリハビリ職、相談職からも目指せます。実務経験証明書の準備や研修日程の調整など、合格後まで見据えてスケジュールを立てましょう。へと続くキャリアの道筋もあわせて考えてみてください。

