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ケアマネはパソコンが苦手でも務まるのか。制度が求める最低限のスキルを解説

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監修者

名前 / Name  
大石 智之

実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。

その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。

さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。

約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。

設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。

現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。

「パソコンが苦手だからケアマネは無理かもしれない」。そう感じている人は少なくありません。ただし精神論で判断する前に、制度がどこまでを前提にしているかを知っておくべきです。重要事項のウェブ掲載は原則義務になり、ケアプランデータ連携システムは2027年1月にWEBサービスへ移行します。必要な水準を公的資料で確認します。


制度がケアマネに求めているITの水準

まず現実を直視しましょう。「使えたほうがいい」ではなく、法令上すでに前提とされている部分があります。ここを把握すれば、必要なスキルの範囲も見えてきます。

重要事項のウェブサイト掲載は原則として義務

「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号)第22条は、事業所の見やすい場所に運営規程の概要等の重要事項を掲示することを求めたうえで、第3項で「原則として、重要事項をウェブサイトに掲載しなければならない」と定めています。

この規定には令和7年3月31日までの経過措置が設けられていましたが、その期間は既に終了しています。つまり紙の掲示だけで完結する時代は終わっています。ただしこれは事業所としての義務であり、ケアマネ個人がサイトを構築する話ではありません。

出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999405&dataType=0&pageNo=1

書類の電子化は「できる」規定にとどまる

一方で、安心できる部分もあります。同基準第31条は、書面により行うことが規定または想定されているもののうち、作成・保存等については電磁的記録により行うことができるとしています。交付、説明、同意、承諾等についても、相手方の承諾を得れば電磁的方法によることができるとされています。

これは「できる」規定であり、紙での運用が禁止されたわけではありません。パソコンが苦手な人がいきなりすべてを電子化する必要はなく、事業所の方針に合わせて段階的に移行すれば足ります。

出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999405&dataType=0&pageNo=1

ケアプランデータ連携は2027年1月にWEBサービスへ

避けて通れないのがこちらです。厚生労働省は令和8年7月29日付の事務連絡で、ケアプランデータ連携システムを「介護情報基盤」に統合し、介護保険資格確認等WEBサービスへ移行することを案内しました。移行時期は令和9年(2027年)1月が予定されています。

移行後は、クライアントソフトのインストールではなくWEBシステムの利用でケアプランデータ連携機能が使えるようになります。ソフトの導入や更新作業が不要になる分、パソコンが苦手な人にとってはむしろ扱いやすくなる変更です。

出典:厚生労働省「ケアプランデータ連携システムの介護保険資格確認等WEBサービスへの移行について(介護保険最新情報Vol.1529)」https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2026/0730092333872/ksvol.1529.pdf


苦手な人が最初に身につけるべきこと

必要な操作は、思われているほど多くありません。優先順位をつけて、実際に使う場面から順に慣れていきましょう。

利用登録の所要時間は数分

移行にあたっては介護WEBサービスへの利用登録が必要です。すでに登録を終えている場合は不要ですが、ケアプランデータ連携システムだけを導入している場合は登録が求められます。

厚生労働省の事務連絡では、利用登録は既に可能で、所要時間は数分とされています。作業内容も、登録サイトを開き、電子請求受付システムのIDとパスワードでログインし、認証コードを入力して管理者ユーザーを登録するという流れです。2026年7月から12月までが準備期間とされており、統合直前はヘルプデスクの混雑が想定されるため、早めに済ませておくのが安全です。

出典:厚生労働省「ケアプランデータ連携システムの介護保険資格確認等WEBサービスへの移行について(介護保険最新情報Vol.1529)」https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2026/0730092333872/ksvol.1529.pdf

テレビ電話の操作は覚える価値がある

もう一つ実務に直結するのがテレビ電話です。同基準第13条第14号は、所定の条件を満たせばモニタリングについて2か月に1回の居宅訪問とし、訪問しない月はテレビ電話装置等による面接を認めています。第13条第9号では、サービス担当者会議もテレビ電話装置等を活用して行うことができるとされています。

移動時間や日程調整の負担が直接減る部分です。文書による利用者の同意や関係者の合意といった手続きは必要ですが、操作自体は通話を開始して画面を見るだけです。苦手意識があっても、効果が大きいためここから覚える価値があります。

出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999405&dataType=0&pageNo=1

会議のオンライン開催にも慣れておく

同基準第21条の2は、感染症の予防およびまん延の防止のための対策を検討する委員会について、テレビ電話装置等を活用して行うことができるとしたうえで、おおむね6か月に1回以上の開催を求めています。同基準第27条の2も、虐待の防止のための委員会についてテレビ電話装置等の活用を認めています。

利用者が関わらない社内の会議は、練習の場として最適です。失敗しても影響が小さい場面でオンラインの操作に慣れておけば、利用者とのテレビ電話面接にも移りやすくなります。

出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999405&dataType=0&pageNo=1


苦手を放置した場合に生じる差

パソコンが苦手でもケアマネは務まります。ただし放置した場合、働き方に差が出ることは知っておくべきです。

担当できる件数の上限が変わる

同基準第2条第2項は、介護支援専門員の員数の基準について、利用者の数が44またはその端数を増すごとに1とすると定めています。一方で同条第3項は、国民健康保険中央会が運用および管理を行う情報処理システムを利用し、かつ事務職員を配置している場合には、その基準を利用者数49ごとに1とすると定めています。

つまりシステムを使えるかどうかが、事業所として受けられる件数に直接影響します。個人の適性の問題ではなく、経営に関わる要素として制度に組み込まれています。

出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999405&dataType=0&pageNo=1

事務職員との役割分担という選択肢がある

注目したいのは、緩和の条件が「システムの利用」と「事務職員の配置」の2つである点です。制度は、ケアマネ本人がすべてを操作することを求めているわけではありません。

事務職員に書類作成やデータ入力を担ってもらい、ケアマネは利用者と向き合う時間に集中する。この役割分担が制度上も想定されています。苦手なら苦手なりに、体制で補うという発想が成り立ちます。

出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999405&dataType=0&pageNo=1

導入の金銭的な壁は下がっている

「うちの事業所は費用がかかるから導入しない」という説明を受けている人もいるかもしれません。しかし状況は変わりました。

厚生労働省の事務連絡では、介護WEBサービスの利用にあたって各介護事業所等に対し利用料などの直接の費用は求めないこととされています。従来は年額21,000円だったケアプランデータ連携システムの利用料は、移行後は発生しません。加えて令和8年度の助成金の申請受付期間は令和8年5月7日から令和9年3月12日(予定)までとされ、カードリーダーの購入経費や接続サポート等経費が対象となっています。

出典:厚生労働省「ケアプランデータ連携システムの介護保険資格確認等WEBサービスへの移行について(介護保険最新情報Vol.1529)」https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2026/0730092333872/ksvol.1529.pdf


それでも不安が残る人へ

スキルの話だけでは解決しない部分もあります。最後に、環境という視点から考えます。

事業所には研修機会を確保する義務がある

同基準第19条第3項は、指定居宅介護支援事業者は介護支援専門員の資質の向上のために、その研修の機会を確保しなければならないと定めています。

さらに2026年6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)では、事業者に対し、雇用する介護支援専門員の研修の受講機会を確保する措置をとる義務が新設されました。学ぶ機会は、個人の努力だけでなく事業所の責任としても位置づけられています。

出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999405&dataType=0&pageNo=1 / 厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について(介護保険最新情報Vol.1518)」https://www.mhlw.go.jp/content/001715668.pdf

職場によって求められる水準は大きく違う

同じ制度のもとでも、ICTを使い切っている事業所と、手書き・FAXが中心の事業所では、必要なスキルがまったく異なります。前者では最初こそ戸惑いますが、周囲に教えられる人がいて、ツールも整っています。

逆に後者では、パソコンを使う場面が少ない代わりに、記録や書類の作業量そのものが多くなりがちです。「苦手だからアナログな職場のほうが楽」とは限りません。

苦手なのか、教わる機会がなかっただけなのか

多くの場合、問題はスキルそのものではなく、教わる機会がなかったことにあります。介護WEBサービスの利用登録が数分で終わるように、実際の操作は手順どおりに進めれば完了するものがほとんどです。

一人で抱え込んで「向いていない」と結論づける前に、教えてもらえる環境かどうかを確認してください。資格の適性の問題ではなく、環境の問題であるケースは少なくありません。


ケアマネとパソコンについてよくある質問

不安を持たれやすい点をまとめました。

パソコンが苦手でもケアマネになれますか?

なれます。試験や実務研修でパソコンスキルが要件とされているわけではありません。ただし実務では、ケアプランデータ連携や重要事項のウェブ掲載など、ITを前提とした仕組みが増えています。

どのくらいのスキルが必要ですか?

まずは介護WEBサービスの利用登録と、テレビ電話での面接・会議に対応できることです。利用登録は所要時間が数分とされており、手順に沿って進める作業です。

書類はすべて電子化しなければいけませんか?

いけません。省令は電磁的記録・電磁的方法によることが「できる」と定めているだけで、紙での運用が禁止されているわけではありません。

ケアプランデータ連携システムは難しくなりますか?

2027年1月に介護WEBサービスへ移行し、クライアントソフトではなくWEBシステムでの利用になります。ソフトの導入や更新が不要になるため、扱いやすくなる方向の変更です。

事務職員がいれば自分は使えなくても大丈夫ですか?

人員基準の緩和は「システムの利用」と「事務職員の配置」の両方が条件です。役割分担は可能ですが、事業所としてシステムを使っていることが前提になります。

苦手なままだと転職で不利になりますか?

事業所によって求められる水準は大きく異なります。ICTが整った事業所は最初こそ戸惑いますが教えられる人がいます。まずは教育体制のある職場かどうかを確認するのが現実的です。


ケアマネとパソコンについてのまとめ

パソコンが苦手でもケアマネは務まります。ただし制度は着実にIT前提へ移行しており、重要事項のウェブ掲載は原則義務、ケアプランデータ連携は2027年1月にWEBサービスへ移ります。まず必要なのは利用登録とテレビ電話の操作で、いずれも手順どおりに進めれば完了します。事務職員との役割分担も制度上想定されています。教わる環境があるかどうかを確認するところから始めてください。


執筆者
ケアマネクスト編集部
ケアマネクスト編集部
ケアマネとして働く方のキャリアの「次」と、事業所のこれからの「次」。
その両方の後押しになるよう、試験や制度、働き方、事業承継の情報をお届けしています。
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