居宅介護支援とは?利用開始までの流れと、費用・受けられる支援の中身
監修者

名前 / Name
大石 智之
実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。
その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。
さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。
約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。
設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。
現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。
居宅介護支援は、在宅で暮らす要介護者のケアプランを作り、サービスを調整する介護保険のサービスです。「介護が必要になったら、まずケアマネに相談を」と言われても、どこに連絡し、何を準備し、どんな支援が受けられるのかは意外と知られていません。本記事では、居宅介護支援の定義と費用、利用開始までの流れ、入退院や終末期に受けられる支援の中身、報酬と制度の最新の動きまでを整理します。
居宅介護支援とは
まずは、居宅介護支援が法律でどう定められているのか、要支援者向けの介護予防支援とはどう違うのか、利用者の費用負担はあるのかを確認します。
法律上の定義
居宅介護支援は、介護保険法第8条第24項で定められたサービスです。居宅の要介護者が居宅サービスなどを適切に利用できるよう、次のことを行うものとされています。
- 心身の状況や置かれている環境、本人や家族の希望などを踏まえて居宅サービス計画(ケアプラン)を作成する
- ケアプランにもとづくサービスが提供されるよう、サービス事業者と連絡調整を行う
- 介護保険施設などへの入所が必要な場合に紹介を行う
出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf
介護予防支援との違い
居宅介護支援の対象は「要介護1〜5」の人です。「要支援1・2」の人のケアマネジメントは介護予防支援と呼ばれ、主に地域包括支援センターが担ってきました。
2024年4月からは、居宅介護支援事業所も市町村の指定を受けて介護予防支援を直接行えるようになりました。2025年4月末時点で居宅介護支援事業所への指定を行っている市町村は47.9%、指定を受けている居宅介護支援事業所は16.3%にとどまっています。
出典:同上 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf
利用者負担はあるのか
居宅介護支援は、現在、利用者の自己負担なしで利用できます。ケアプランの作成や調整にかかる費用は、介護保険から全額給付されます。
一方、2026年6月に公布された法改正では、中重度の要介護者が入居する住宅型有料老人ホームの入居者を対象に、新しい相談支援の類型「登録施設介護支援」が設けられ、こちらは原則1割の利用者負担を求めることとされました。通常の居宅介護支援とは別の仕組みとして整理されている点に注意しましょう。
出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001717214.pdf
居宅介護支援で受けられる支援の中身
居宅介護支援というと「ケアプランを作ってもらうサービス」と思われがちですが、実際には医療機関との連携や、人生の最終段階の支援まで含まれます。介護報酬の加算として評価されている支援を中心に、その中身を紹介します。
入院・退院のときの医療機関との連携
利用者が入院すると、ケアマネは自宅での生活の様子や介護の状況を病院に伝えます。2024年度の改定では、入院当日中に情報提供した場合を評価する区分(250単位)と、入院の翌日または翌々日に提供した場合の区分(200単位)が設けられ、より早い情報連携が求められるようになりました。
出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf
退院や退所のときには、病院や施設の職員から必要な情報を受け取り、退院前カンファレンスに参加するなどして、退院後すぐに必要なサービスを使えるようケアプランを準備します。入院中から病院と在宅をつなぐことで、退院後の生活の立ち上がりがスムーズになります。
通院への同行と、医師・歯科医師との情報共有
ケアマネが利用者の受診に同席し、医師に生活の状況を伝えたり、医師から療養上の注意点を聞いたりすることもあります。2024年度の改定では、医師の診察に加え、歯科医師の診察に同席した場合も評価の対象に加わりました。口腔の状態は食事や栄養にも関わるため、医療と介護の連携がより広く求められています。
出典:同上 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf
自宅で最期を迎えたい人への支援
自宅で最期を迎えたいと考える利用者に対しては、ケアマネが頻回に訪問し、心身の状況を主治医やサービス事業者と共有する支援も行われます。2024年度の改定で、この支援を評価するターミナルケアマネジメント加算の対象は末期の悪性腫瘍に限定されなくなり、医師が回復の見込みがないと診断した人に広がりました。あわせて、人生の最終段階における本人や家族の意向を適切に把握することが要件とされています。
出典:同上 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf
居宅介護支援を利用するまでの流れ
ここでは、利用者や家族の立場から、居宅介護支援を使い始めるまでの手順を整理します。初めて介護保険を利用する場合は、ケアマネと契約する前に要介護認定を受ける必要があります。
まずは地域包括支援センターか市町村の窓口へ
介護が必要になったときの最初の相談先は、お住まいの地域の地域包括支援センター、または市町村の介護保険の窓口です。入院中であれば、病院の医療ソーシャルワーカーなどの相談窓口でも案内を受けられます。どこに相談すればよいかわからない段階でも、まずは状況を伝えれば、必要な手続きを案内してもらえます。
要介護認定を申請する
介護保険のサービスを使うには、市町村に要介護認定を申請し、認定を受ける必要があります。申請は本人や家族のほか、居宅介護支援事業者などが代わりに行うこともできます。市町村は原則として申請から30日以内に認定を行うこととされています。
出典:e-Gov法令検索「介護保険法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
認定の結果が出る前でも、状況によっては暫定的なケアプランを作ってサービスを使い始められる場合があります。急ぎの場合はケアマネや地域包括支援センターに相談しましょう。
事業所を選び、契約する
要介護1〜5の認定を受けたら、居宅介護支援事業所を選んで契約します。事業所は、市町村の窓口や地域包括支援センターで一覧をもらえるほか、厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも調べられます。
契約の際、事業所は、過去6か月間に作成したケアプランに訪問介護・通所介護・地域密着型通所介護・福祉用具貸与がどの程度位置付けられているか、また同一事業者によって提供された割合を説明し、理解を得るよう努めることとされています。ケアマネが特定の事業所に偏らず、公正中立にサービスを選んでいるかを判断する材料になります。
出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf
契約後は、ケアマネによるアセスメントを経てケアプランが作られ、サービスの利用が始まります。
報酬の仕組みと、いま起きている変化
最後に、居宅介護支援の報酬がどう決まるのかと、ここ数年で起きている制度の変化を整理します。これから居宅介護支援で働く人や、職場に戻る人が押さえておきたいポイントです。
報酬は「取扱件数」で変わる逓減制
居宅介護支援の基本報酬は、利用者の要介護度とケアマネ1人あたりの取扱件数で決まります。1人あたり45件以上(ケアプランデータ連携システムの活用と事務職員の配置をしている場合は50件以上)になると、超過した部分の報酬が段階的に下がる「逓減制」がとられています。このほか、入院時の情報連携や退院時の連携、ターミナルケアマネジメントなどを評価する加算があります。
出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf
2026年度から処遇改善加算の対象に
2026年度の介護報酬改定では、これまで対象外だった居宅介護支援にも介護職員等処遇改善加算(2.1%)が設けられました。ケアマネの処遇改善に向けた一歩として注目されています。
出典:同上 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf
介護予防ケアマネジメントの委託先も広がる
2026年の法改正では、地域包括支援センターと居宅介護支援事業所の協働・役割分担を進めるため、介護予防・日常生活支援総合事業の介護予防ケアマネジメントについて、居宅介護支援事業所も市町村から委託を受けて直接実施できるようになります。要支援や事業対象者の段階から、同じ事業所が継続して関わりやすくなる見直しです。
出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001717214.pdf
住宅型有料老人ホームのケアマネジメントが変わる
2026年の法改正では、いわゆる「囲い込み」への対策として、登録制の対象となる住宅型有料老人ホームの入居者に対し、ホームと対等な立場でケアプラン作成と地域生活の相談を行う「登録施設介護支援」が新設されます。特定の介護サービス事業者の利用を入居の条件にすることの禁止や、ケアマネジメントの独立性を確保する方針の策定・公表なども導入されます。
当面の間、既存の居宅介護支援事業者は新たな指定申請を不要とする予定とされています。有料老人ホームの入居者を担当しているケアマネは、施行に向けた国の案内を確認しておきましょう。
出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001717214.pdf
居宅介護支援についてのよくある質問
Q. 居宅介護支援は誰でも利用できますか?
A. 要介護1〜5の認定を受け、自宅などで暮らしている人が対象です。要支援1・2の人は、地域包括支援センターなどが行う介護予防支援の対象になります。
Q. 居宅介護支援を利用すると費用はかかりますか?
A. 通常の居宅介護支援には、利用者の自己負担はありません。ただし2026年の法改正で新設された、住宅型有料老人ホームの入居者向けの「登録施設介護支援」は、原則1割の利用者負担が求められる予定です。
Q. 担当のケアマネや事業所は途中で変更できますか?
A. 変更できます。相性や対応に不安がある場合は、事業所の管理者や、市町村の介護保険窓口、地域包括支援センターに相談しましょう。
Q. 要支援の人でも、居宅介護支援事業所に担当してもらえますか?
A. 2024年4月から、市町村の指定を受けた居宅介護支援事業所は介護予防支援を直接行えるようになりました。指定の状況は市町村によって異なるため、地域包括支援センターに確認しましょう。
Q. 入院したら、ケアマネとの契約は終わりますか?
A. 入院しただけで契約が終わるわけではありません。ケアマネは入院時に病院へ生活の様子を伝え、退院が近づいたら病院と連携して退院後のサービスを準備します。入院が決まったら、早めに担当のケアマネに連絡しましょう。
居宅介護支援についてのまとめ
居宅介護支援は、要介護者のケアプラン作成とサービス調整を行う介護保険のサービスで、利用者の自己負担はありません。利用するには要介護認定を受け、事業所と契約します。ケアプラン作成だけでなく、入退院時の病院との連携や通院同行、自宅での看取りの支援まで含まれます。報酬や委託の仕組みも見直しが進んでいるため、最新の制度を押さえておきましょう。

