ケアマネは国家資格?資格の位置付けと、更新制の廃止で変わること
監修者

名前 / Name
大石 智之
実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。
その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。
さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。
約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。
設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。
現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。
「ケアマネって国家資格なの?」。介護職からキャリアアップを考えるとき、多くの人が一度は抱く疑問です。結論から言うと、ケアマネ(介護支援専門員)は国家資格ではありません。ただし、介護保険法にもとづく公的な資格で、受験するには国家資格などにもとづく実務経験が必要です。本記事では、国家資格との違い、試験と登録の仕組み、合格率、そして2026年の法改正で資格の扱いがどう変わるのかを、公的な資料をもとに整理します。
ケアマネは国家資格ではなく「都道府県に登録する公的資格」
ケアマネが国家資格ではないと聞くと、価値が低い資格なのではと感じる人もいるかもしれません。まずは、資格の位置付けを正しく理解しておきましょう。
介護保険法にもとづく資格
介護支援専門員は、介護保険法で定められた資格です。介護支援専門員証の交付を受けなければ、ケアマネとして業務に就くことはできません。
出典:e-Gov法令検索「介護保険法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123
国家資格との違いは「誰が登録するか」
介護福祉士や看護師などの国家資格は、国が実施する試験に合格し、国(厚生労働大臣)の名簿に登録する資格です。これに対してケアマネは、都道府県が実施する試験に合格し、実務研修を修了したうえで都道府県知事の登録を受ける資格です。
試験問題は全国共通で、全国一斉に実施されますが、試験の実施主体や登録先は都道府県になります。この「登録先が国か都道府県か」が、国家資格かどうかを分ける違いです。
民間資格とはまったく違う
国家資格ではないといっても、民間団体が独自に認定する民間資格とはまったく性質が異なります。ケアマネは介護保険法にもとづいて都道府県が試験・研修・登録を行う資格で、資格がなければ居宅介護支援事業所などでケアマネとして業務に就くことはできません。
介護保険制度のなかでは、ケアプランの作成や給付管理といった、保険給付の根幹に関わる業務を担う資格です。「国家資格ではない=価値が低い」と考えるのではなく、法律にもとづく専門職の資格として理解しておきましょう。
受験には国家資格などにもとづく実務経験が必要
ケアマネ試験を受けるには、医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士、理学療法士などの法定資格にもとづく業務、または特定の施設での相談援助業務に、通算5年以上かつ900日以上従事している必要があります。
出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「介護支援専門員・ケアマネジャー」 https://shigoto.mhlw.go.jp/Occupation/Detail?occupationId=132
多くの人にとって、ケアマネは「国家資格の上に積み重ねる資格」と言えます。国家資格ではないからといって、取得が簡単な資格というわけではありません。
国家試験と比べたケアマネ試験の特徴
ケアマネ試験の正式名称は「介護支援専門員実務研修受講試験」です。名前のとおり、国家試験とは仕組みがいくつか異なります。ここでは、国家資格の試験と比べたときの特徴を整理します。
合格しても、すぐに資格が得られるわけではない
介護福祉士などの国家試験は、合格して登録すれば資格を得られます。一方、ケアマネ試験は、合格すると「実務研修を受ける権利」が得られる試験です。合格後に都道府県の実務研修を修了し、登録を受けて介護支援専門員証が交付されて、はじめてケアマネとして働けます。
実施するのは都道府県、問題は全国共通
試験を実施するのは国ではなく各都道府県ですが、問題は全国共通で、年1回全国一斉に行われます。合格発表や合格者数の公表も、都道府県ごとに行われます。
分野ごとに合格基準がある
試験は「介護支援分野」25問と「保健医療福祉サービス分野」35問の全60問で構成され、分野ごとに正答率70%を基準とした合格点が設けられています。合計点で合否が決まる試験と違い、苦手分野を他の分野で補うことはできません。
出典:長崎県「第28回介護支援専門員実務研修受講試験問題正答番号・合格基準」 https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2025/11/1763606165.pdf
合格率の推移や合格点の詳しいデータは、別の記事で解説しています。
▶ あわせて読みたい:ケアマネ試験の合格率25.6%は高い?低い?28回分の推移でわかる本当の難しさ https://caremane-next.com/exameligibility/pass-rate/
合格の効力は翌年度以降も残る
国家試験の多くと同じく、ケアマネ試験の合格もその年度限りで消えるものではありません。山口県の実務研修では、その年度の合格者に加え、前年度以前に合格して受講が認められた人や、他の都道府県で合格して受講が認められた人も対象とされていました。事情があって合格した年度に研修を受けられなくても、合格が無駄になるわけではありません。
出典:山口県「介護支援専門員実務研修 実施要項」 https://www.kaigo.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/file/2312/003124_f1.pdf
受験資格の条件や、受験から登録までの手順は、別の記事で詳しく解説しています。
▶ あわせて読みたい:ケアマネの受験資格、あなたは満たしてる?対象22資格と「5年・900日」の数え方 https://caremane-next.com/exameligibility/exam-requirements/
2026年の法改正で資格の扱いが変わる
ケアマネの資格には、これまで「5年ごとの更新」という国家資格にはない特徴がありました。2026年の法改正で、この仕組みが大きく変わります。
これまでは5年ごとの更新が必要だった
これまで介護支援専門員証には5年の有効期間があり、更新するには研修の受講が必要でした。研修を受けずに有効期間が切れると、ケアマネとして業務に就けなくなる仕組みです。一度取れば原則として生涯有効な介護福祉士などの国家資格との大きな違いでした。
更新制は廃止され、資格が期限で失効しなくなる
2026年6月に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」により、研修受講を要件とした更新の仕組みは廃止されることになりました。一度交付を受けた資格は、期限によって失効することがなくなります。施行日は公布後1年6月以内に政令で定める日とされています。
出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001717214.pdf
国家資格かどうかという分類は変わりませんが、「取った資格が期限で使えなくなる」という不安は解消されることになります。
研修を受ける義務はなくならない
ただし、定期的な研修の受講は引き続き求められます。見直し後は、一定期間のなかで任意のタイミングに分割して受講できる仕組みにし、時間数の縮減やオンライン受講を進める方向です。事業者にも、雇用するケアマネが研修を受けられるよう必要な措置を講じる義務が課されます。離職後に復帰する人向けには、制度変更などを学び直す簡素な研修が新設される予定です。
出典:厚生労働省 同上資料 https://www.mhlw.go.jp/content/001717214.pdf
施行前に有効期間を迎える人には現行のルールが適用されるため、都道府県の案内を確認しておきましょう。
ケアマネに関わる資格の種類を整理する
「国家資格かどうか」を考えるときは、ケアマネの前後にある資格との関係を整理しておくと、自分のキャリアの道筋が見えやすくなります。ここでは、ケアマネに関わる資格を3つの種類に分けて紹介します。
受験の土台になる国家資格
ケアマネの受験資格の多くは、国家資格にもとづく実務経験です。介護福祉士、社会福祉士、看護師、理学療法士、作業療法士などがこれにあたります。介護福祉士は利用者に直接介護を提供する専門職、看護師は医療の専門職であり、ケアマネはそうした現場の専門職が経験を積んだ先で、支援全体を組み立てる役割に移る資格だと言えます。
国家資格を持つ人がケアマネになると、現場の介護や医療がわかるケアマネとして、サービス事業所や医療機関との連携で強みを発揮できます。
ケアマネの先にある公的資格「主任介護支援専門員」
ケアマネとして経験を積んだ人が、都道府県の研修を修了して取得するのが主任介護支援専門員(主任ケアマネ)です。ケアマネと同じく国家資格ではありませんが、居宅介護支援事業所の管理者や、地域包括支援センターへの配置が求められる資格です。
学会が認定する「認定ケアマネジャー」
日本ケアマネジメント学会が認定する「認定ケアマネジャー」は、国や都道府県ではなく学会が認定する資格です。法律上の資格ではありませんが、国の実施要綱では、認定ケアマネジャーであれば、主任介護支援専門員研修の受講に必要な専任の従事期間が5年から3年に短縮されるルートが設けられています。
出典:内閣府 地方分権改革 提案募集資料「主任介護支援専門員の概要」 https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/kaigi/doc/teianbukai100shiryou3_2.pdf
このように、ケアマネの周りには国家資格、公的資格、学会の認定資格が組み合わさっています。国家資格かどうかだけでなく、それぞれの資格がキャリアのどの段階で役立つのかを知っておくと、目指す道を選びやすくなります。
ケアマネと国家資格についてのよくある質問
Q. ケアマネは国家資格ですか?
A. 国家資格ではありません。介護保険法にもとづき、都道府県が実施する試験に合格し、実務研修を修了したうえで都道府県知事の登録を受ける公的資格です。
Q. 国家資格がなくてもケアマネになれますか?
A. 法定資格がなくても、生活相談員や支援相談員など特定の相談援助業務に5年以上かつ900日以上従事していれば受験できます。ただし、多くの受験者は介護福祉士や看護師などの国家資格を持っています。
Q. 別の都道府県に引っ越してもケアマネとして働けますか?
A. 働けます。ただし、登録している都道府県とは別の都道府県で働く場合は、登録の移転の手続きが必要です。詳しくは、登録先と移転先の都道府県に確認しましょう。
Q. 更新制が廃止されたら、更新研修は受けなくてよくなりますか?
A. 施行日以降は、更新のための研修という位置付けはなくなります。ただし定期的な研修の受講は引き続き求められます。施行前に有効期間を迎える方には現行のルールが適用されるため注意してください。
Q. ケアマネの国家資格化は予定されていますか?
A. 2026年10月時点で、ケアマネを国家資格にする具体的な制度改正は示されていません。現在の見直しは、更新制の廃止や研修の負担軽減、受験に必要な実務経験の見直しなど、担い手を確保するための改革が中心です。
ケアマネと国家資格についてのまとめ
ケアマネ(介護支援専門員)は国家資格ではなく、介護保険法にもとづき都道府県知事の登録を受ける公的資格です。受験には国家資格などによる5年以上の実務経験が必要で、直近の合格率は25.6%と簡単な試験ではありません。2026年の法改正で更新制は廃止され、資格が期限で失効することはなくなります。国家資格を土台に、主任ケアマネや認定ケアマネジャーへと続くキャリアの道筋もあわせて考えてみてください。

