ケアマネの処遇改善加算はいくら?2.1%の計算方法と働く場所ごとの違い、2027年度改定の見通し
監修者

名前 / Name
大石 智之
実績 / Achievements
介護・福祉業界に入り、現場のホームヘルパーとして介護の実務経験を積む。
その後、デイサービスの立ち上げおよび責任者、訪問介護事業所の立ち上げおよび責任者、福祉用具貸与事業所の責任者を歴任。
さらに、居宅介護支援・訪問介護・福祉用具・デイサービスの各事業を統括する責任者として、介護事業の運営・マネジメントに携わる。
約7年間の勤務を経て独立し、居宅介護支援事業と福祉用具事業を柱として株式会社ログを設立。
設立後は地域に根ざした介護・福祉サービスの展開を進め、現在は居宅介護支援事業所10事業所を中心に、複数の介護・福祉事業の経営・運営を行っている。
現場の介護職から事業所の立ち上げ、管理・統括、そして経営まで、介護・福祉事業に幅広く携わっている。
2026年6月、居宅介護支援にも処遇改善加算が新設されました。ただ、「加算率2.1%」と聞いても、自分の給料が実際にいくら上がるのかはイメージしにくいものです。また、地域包括支援センターや施設で働くケアマネは、居宅とは仕組みが異なります。本記事では、2.1%の計算方法と試算、働く場所ごとの違い、事業所が加算を算定するための手続き、2027年度の報酬改定に向けた最新の議論までを整理します。
2.1%でケアマネの給料はいくら上がるのか
まずは、居宅介護支援の処遇改善加算がどのように計算され、ケアマネ1人あたりでどのくらいの金額になるのかを確認します。数字で見ると、制度の効果と限界がはっきりします。
加算率は居宅介護支援・介護予防支援ともに2.1%
2026年度の介護報酬改定では、改定率が全体でプラス2.03%(うち処遇改善分がプラス1.95%)とされ、これまで処遇改善加算の対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援などに、新たに処遇改善加算が設けられました。居宅介護支援と介護予防支援の加算率は2.1%です。
出典:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675936.pdf
加算額は「1か月の報酬×2.1%」で決まる
処遇改善加算の額は、事業所の1か月の介護報酬の総単位数(処遇改善加算を除く)に加算率を掛けて計算します。つまり、ケアマネ1人あたりでいくらになるかは、そのケアマネが担当する利用者の数と、要介護度の内訳によって変わります。
居宅介護支援の基本報酬は、ケアマネ1人あたりの取扱件数が45件未満の場合、要介護1・2の利用者で1か月1,086単位、要介護3〜5の利用者で1,411単位です。
出典:厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料6 https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716151.pdf
担当40件のケアマネで試算すると月1万円前後
たとえば、要介護1・2の利用者を25人、要介護3〜5の利用者を15人、合わせて40人を担当するケアマネで試算してみます。基本報酬の合計は48,315単位で、これに2.1%を掛けると約1,015単位になります。1単位の単価は地域によって10円から11.40円程度まで差があるため、金額にすると月1万円から1万1,600円程度です。
これは基本報酬だけで計算した目安で、実際には各種加算も計算の対象に含まれます。また、この金額はケアマネ1人の給料がそのまま上がる額ではなく、事業所に入る加算額です。事業所は、加算額をケアマネだけでなく事務職員などを含めた職員の賃金改善に充てるため、一人ひとりの給料にどう反映されるかは配分の方法によって変わります。
働く場所によって処遇改善の仕組みは違う
ケアマネが受ける処遇改善の仕組みは、働いている事業所のサービスの種類によって異なります。自分がどの仕組みの対象なのかを確認しておきましょう。
居宅介護支援事業所:2026年6月から2.1%が新設
居宅介護支援事業所で働くケアマネは、2026年6月に新設された2.1%の加算の対象です。ただし、加算を算定するかどうかは事業所の判断で、算定していない事業所では賃上げにつながりません。給料が上がらない理由や、勤務先の算定状況の確かめ方は、公開済みの記事で詳しく解説しています。
▶ あわせて読みたい:ケアマネの給料が上がらないのはなぜ?国のデータで見る4つの理由と、処遇改善で変わること https://caremane-next.com/dx/pay-raise/
地域包括支援センター:介護予防支援も同じ2.1%
あまり知られていませんが、要支援者のケアマネジメントである介護予防支援も、居宅介護支援と同じく2.1%の加算の対象になりました。地域包括支援センターが介護予防支援費とあわせて処遇改善加算を請求する場合の請求書の記載例も示されています。
出典:独立行政法人福祉医療機構 WAM NET「令和8年6月介護報酬改定における介護給付費請求明細書の様式記載例」 https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2026/0420143053543/20260416_024.pdf
ただし、地域包括支援センターは市町村の直営や委託など運営の形がさまざまです。加算による収入をセンターの職員の賃金にどう反映するかは、運営する法人や市町村によって異なるため、勤務先に確認しましょう。
施設・グループホーム:施設全体の加算から配分される
特別養護老人ホームやグループホームなどで働くケアマネは、施設のサービスに設けられている処遇改善加算から配分を受ける形になります。2026年度の改定では、処遇改善加算の対象が介護職員のみから介護従事者全体に広げられました。施設のケアマネも、加算による賃金改善の対象として明確に位置付けられたことになります。
出典:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001675936.pdf
施設のケアマネの場合、加算率は施設のサービスごとに決まっており、居宅介護支援の2.1%とは異なります。配分は施設全体の職員のなかで決められるため、職種ごとの配分方法を確認しておくことが大切です。
事業所が処遇改善加算を算定するための手続き
ここからは、居宅介護支援事業所の管理者や経営者の方に向けて、加算を算定するための手続きを整理します。手続きの流れを知っておくと、職員として算定を後押しすることもできます。
算定前に処遇改善計画書を提出する
処遇改善加算を算定するには、算定を始める前に、賃金改善の計画をまとめた処遇改善計画書を、指定権者である都道府県や市町村に提出する必要があります。あわせて、加算を算定する体制の届出も行います。提出の期限や方法は自治体ごとに定められているため、事業所を所管する自治体の案内を確認しましょう。
要件が整っていなくても「誓約」で算定できる
2026年度の計画書の様式では、特例の要件を満たすことで算定する場合に、2027年3月末までに昇給の仕組みを整えることや、必要な賃金改善を行うことを誓約する欄が設けられています。就業規則や研修計画などの体制がまだ整っていない事業所でも、誓約したうえで年度内に整備することで算定を始められる仕組みです。
出典:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算 処遇改善計画書(令和8年度)」 https://www.mhlw.go.jp/content/001666256.pdf
誓約した内容は、年度末までに実際に整える必要があります。整備が間に合わなければ、加算の返還を求められるおそれもあるため、計画的に進めましょう。
年度が終わったら実績報告を行う
加算を算定した年度が終わったら、実際に行った賃金改善の内容を実績報告書にまとめて提出します。提出期限は、最後に加算の支払いを受けた月の翌々月末日が基本で、通常は翌年度の7月末ごろになります。
出典:和歌山県「介護職員等処遇改善加算等について」 https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/040800/d00222630.html
計画書や実績報告書、賃金改善の根拠となる資料は、一定期間保存することが求められます。給与明細や賃金台帳との整合性を日ごろから確認しておくと、運営指導の際にも慌てずに済みます。
2027年度の報酬改定で処遇改善はどうなるのか
2026年度の処遇改善は、本来3年に1度の報酬改定を待たずに行われた臨時の改定でした。2027年度の報酬改定に向けて、ケアマネの処遇や働き方に関わる議論が進んでいます。
「物価・賃金上昇への対応と処遇改善」が第一の視点に
2026年9月30日の社会保障審議会介護給付費分科会では、厚生労働省が2027年度の報酬改定に向けた「基本的な視点」の案を示し、その第一に物価・賃金上昇への対応と介護職員の処遇改善を掲げました。2026年度の臨時改定の効果を見極めたうえで、処遇改善の在り方が改めて議論される見通しです。
10月19日の分科会で居宅介護支援の見直し案が示された
2026年10月19日の介護給付費分科会では、居宅介護支援について議論が行われました。厚生労働省からは、管理者を主任ケアマネに限らず、一定の実務経験を持つケアマネも認める案や、特定事業所加算の要件の見直し、更新制の廃止後の定期研修を受けていないケアマネを配置する事業所への減算の案などが示されています。委員からは、ケアマネの人材確保に向けて、居宅介護支援の基本報酬や処遇改善の評価の充実を求める意見も出されました。
出典:厚生労働省「第271回社会保障審議会介護給付費分科会」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76624.html
いずれもまだ提案や意見の段階で、決定したものではありません。2026年度末に向けて具体的な内容が固まっていくため、今後の分科会の動きに注目しておきましょう。
今のうちにケアマネができること
制度が変わるのを待つだけでなく、今からできることもあります。勤務先が2026年6月からの加算を算定しているかを確認する、加算による賃金改善がどのように配分されているかを知っておく、そして次の改定に向けて自分の働き方や担当件数の状況を記録しておくことです。制度の変化を自分の待遇に結びつけるには、まず現状を正しく知ることが第一歩になります。
ケアマネの処遇改善についてのよくある質問
Q. ケアマネの処遇改善加算はいつから始まりましたか?
A. 居宅介護支援と介護予防支援の処遇改善加算は、2026年6月から算定できるようになりました。施設のケアマネは、以前から施設の処遇改善加算による賃金改善の対象になり得ました。
Q. 処遇改善加算でケアマネの給料は月いくら上がりますか?
A. 加算額は事業所の介護報酬に2.1%を掛けて計算されます。担当40件のケアマネで試算すると、事業所に入る加算額は月1万円前後ですが、実際にいくら給料に反映されるかは、事業所の配分方法によって異なります。
Q. 地域包括支援センターのケアマネも対象ですか?
A. 介護予防支援も2.1%の加算の対象です。ただし、地域包括支援センターの運営形態によって、職員の賃金への反映のされ方は異なります。
Q. 勤務先が処遇改善加算を算定していない場合はどうすればいいですか?
A. まずは算定していない理由を確認しましょう。体制の整備が理由であれば、誓約によって算定を始められる場合もあります。職員として協力できることがないか、事業所と話し合ってみるのも一つの方法です。
Q. 2027年度の報酬改定で処遇改善はさらに進みますか?
A. 国の分科会では、処遇改善が報酬改定の第一の視点に掲げられ、居宅介護支援の基本報酬や処遇改善の評価の充実を求める意見も出ています。ただし具体的な内容はまだ決まっていません。
ケアマネの処遇改善についてのまとめ
居宅介護支援と介護予防支援の処遇改善加算は2.1%で、担当40件のケアマネで試算すると事業所に入る加算額は月1万円前後です。施設のケアマネは施設の加算から配分を受けるなど、働く場所によって仕組みは異なります。事業所は計画書の提出や誓約、実績報告が必要です。2027年度の報酬改定に向けた議論も進んでいるため、勤務先の算定状況とあわせて動きを確認しましょう。

